コロナ禍から企業が復活するのは一体、いつになるのだろうか。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、4~6月度の鉄道(私鉄)編だ。
京王電鉄が6月運賃収入8.1%増
実態値との「危ういギャップ」
鉄道(私鉄)の主要5社が発表した4〜6月度の月次業績データ(運賃収入、運輸収入、旅客運輸収入など)は、以下の結果となった。
◯東急電鉄(東急)の運賃収入
4月度:前年同月比163.0%(63.0%増)
5月度:同144.9%(44.9%増)
6月度:同107.7%(7.7%増)
◯小田急電鉄の運輸収入
4月度:前年同月比174.1%(74.1%増)
5月度:同155.2%(55.2%増)
6月度:同112.3%(12.3%増)
◯京王電鉄の旅客運輸収入
4月度:前年同月比163.8%(63.8%増)
5月度:同143.4%(43.4%増)
6月度:同108.1%(8.1%増)
◯東武鉄道の運輸収入
4月度:前年同月比154.4%(54.4%増)
5月度:同137.8%(37.8%増)
6月度:同106.6%(6.6%増)
◯西武鉄道(西武ホールディングス〈HD〉)の運輸収入
4月度:前年同月比156.3%(56.3%増)
5月度:同139.5%(39.5%増)
6月度:同106.2%(6.2%増)
上記の数字を見て違和感を覚えた人も多いのではないだろうか?21年4〜6月といえば、新型コロナウイルスが感染拡大の「第4波」と呼ばれるほど猛威を振るっていた時期と重なる。
4月25日に東京、大阪、兵庫、京都の4都府県を対象に3回目の緊急事態宣言が発令されたことは記憶に新しい。その後、5月12日には愛知県と福岡県が、23日には沖縄県が対象地域に加わり、最終的には対象地域は10都道府県まで拡大した。
6月17日には政府が、10都道府県に出されている「緊急事態宣言」について、沖縄を除く9都道府県で解除。ただ、このうち東京や大阪など7都道府県は「まん延防止等重点措置」に移行することを決定した。
このような状況にもかかわらず、なぜ鉄道(私鉄)5社の業績は前年実績を超えているのだろうか。これにはデータ上のカラクリがある。