小さな成功体験の積み重ねで生き方は変わる

バク:とにかく発達障害は、集団生活において他人に迷惑をかけてしまう可能性が高いんです。だからこそ、ケアレスミスや遅刻などの特徴を認めて割り切って、ある程度努力しないとダメなんです。そこそこの幸せを手に入れるためには、周囲に溶け込む方法を身につけて実践しなければなりません。

──いやー、勉強になりました。自分の弱点を認め、周囲に擬態できるように工夫する、というのはなかなか大変そうですが……。

バク:でも、私もほんの数年前まで自尊心が低く、休職しながら「何もできない」と布団の中で絶望していたんです。それでも目標を適切に設定して努力した結果、自分の人生を悲観する回数はかなり減りましたし、最近では「人と同じに産まれなくてよかった」と思えるようにまでなりました。

 無理をせず、小さな成功体験を一つひとつ積み重ねていくことが、生きる上での考え方を変えていくシンプルな秘訣です。

 私の本を読んでくれた人が「他人と違って辛い」から「他人と違って幸いだ!」と気持ちを切り替えられるようになったら、最高だなあと思います。(9月9日12:00記事修正)

発達障害ではない人が自称する「ファッション発達障害」とは?バク@精神科医
元内科の精神科専門医
中高生時代イジメにあうが親や学校からの理解はなく、行く場所の確保を模索するうちにスクールカウンセラーの存在を知り、カウンセラーの道を志し文系に進学する。しかし「カウンセラーで食っていけるのはごく一部」という現実を知り、一念発起し、医師を目指し理転後、都内某私立大学医学部に入学。奨学金を得ながら、勉学とバイトにいそしみやっとのことで卒業。医師国家試験に合格。当初、内科医を専攻したが、医師研修中に父親が亡くなる喪失体験もあり、さまざまなことに対して自信を失う。医師を続けることを諦めかけるが、先輩の精神科主治医と出会うことで、精神科医として「第二の医師人生」をスタート。精神科単科病院にてさまざまな分野の精神科領域の治療に従事。アルコール依存症などの依存症患者への治療を通じて「人間の欲望」について示唆を得る。現在は、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症、パーソナリティ障害などの患者が多い急性期精神科病棟の勤務医。「よりわかりやすく、誤解のない精神科医療」の啓発を目標に、医療従事者、患者、企業対象の講演等を行う。個人クリニック開業に向け奮闘中。うつ病を経験し、ADHDの医師としてTwitter(@DrYumekuiBaku)でも人気急上昇中。Twitterフォロワー4万人。『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす ​生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』が初の著書。
発達障害ではない人が自称する「ファッション発達障害」とは?