尾原 「Gitbook」っていうのがあるんですよ。要は、1つの知識に関して3万字くらいで読める本ですが、「俺、ここアップデートしたいんだよね」と言ってAppLogしていくことで、本が2万字なり4万字なりの凝縮性を持ちながらアップデートし続ける、「GitHub」の本版という考え方があるんです。
で、こういうパッケージって、凝縮性があるから重力を持てるし、凝縮性を作らなきゃいけないから、みんなが精力を込めまくって突然変異が起こる良さと、オープンイノベーション的な、ジャズみたいに、どんどん追加していくところのバランスをどう取っていくか? という部分を含めて、これからまだ進化の余地があります。
そこで進化し続けていくことで、最終的には周さんがおっしゃったように、「バリューチェーン」という分かれているものから、「バリューサイクル」として、凝縮された作り手と受け手の中でインスパイアされて、もう一度凝縮されたアウトプットに戻っていくという、この陰陽図になっていくんじゃないかなぁと、今思いましたね。
未来への「プロセスエコノミー」
山口 フィレンツェにドゥオモってあるでしょ?これで大好きな話があって。あれ、大聖堂を建てるときに上にドームを乗っけるんだけど、あの大聖堂を造ろうって決まったときに、あの大きさのドームを建てられる技術はなかったんですよ。
尾原 そうなんですか? いや、いい話だ。
山口 ドームってどうやって造るの? よくわからないなってところから始めてるんですよね。
尾原 始めたんだ!未来に誰かきっと造ってくれるよと。
山口 なんとなくのイメージはあるんだけど、設計図はないんですね。で、みんなで集まって、こうしたらいいんじゃないか? ああしたらいいんじゃないか? って言って、その都度石を積みながら、200年かかってますからね。200年かかるから、その間にできるようになるだろうと。
尾原 誰かが技術を作るよと。
山口 そうそうそう。だから、ものすごいコレクティブで。その時点でできるもので設計しているんじゃないんです。
尾原 次の世代がきっと作ってくれるに違いない、という異次元進化を含めて信じるということですね。