「逆に考えると、接種を受けていない社員には送付されないので、一種の差別的な取り扱いになりますね」
「そうですか。ではこれはやめた方がよさそうですね。ああ、すき焼きが……」

 B部長はガッカリした表情で答えた。そして続けた。

「ワクチン接種の件も含め、当社としては今後のコロナ対策についてどのようにしたらいいでしょうか?」

 D社労士は次のアドバイスを行った。

(1)ワクチン接種者が増えても、これまで通り社内の感染防止対策は継続する。

(2)ワクチン接種をしていない社員に対して、接種を受けるように奨励するのは可能。ただし未接種者に対して個別に行うのではなく、掲示板や社内報などでの奨励にとどめる。

(3)社内のコロナ感染対策を徹底しても、完全に社員の感染を抑えられるわけではない。万一社員がコロナに感染、または濃厚接触者となった場合の会社の対処方法について決めておく。

(4)社員がワクチンを接種したことにより、副反応の影響で会社を休んだり遅刻、早退をしたりした場合の処遇について決めておく(年次有給休暇を取得してもらうのか、特別休暇扱いにするのか等)。

 B部長はうなずきながら言った。

「これまでコロナの感染防止対策ばかりを考え、社員が感染した場合の事後対処や、これまで社員からの申告がなかったせいもありますが、副反応が原因で会社を休んだ場合の対応など考えていませんでした。これは必要なので早速検討します」