日本で「アクティブ投資がインデックスよりも成績が良い」と
言い切れない2つの理由

 バフェット氏に限らず、高い運用成績を上げている投資家、ファンドマネージャーの多くは投資先を厳選し、それらに集中的に投資することで結果を出している。したがって、アクティブファンドの中にはインデックスによる分散投資よりもはるかに高い実績を出しているファンドもある。

 ただ、日本の場合は、残念ながらインデックス以下の成績しか上げられていないアクティブファンドも多い。理由は2つある。

 1つは日本のアクティブファンドの多くは大手金融機関の系列の運用会社が設定し、それを運用するファンドマネージャーが必ずしも専門性を持ったプロとは言えない場合が多いことである。

 彼らは単なるジョブローテーションでそうなっただけの、言わばサラリーマンファンドマネージャーである。そのため、彼らに求められるのは他社との相対比較において劣後しないことであり、それを避けるためにインデックスファンドに近い無難なポートフォリオになってしまっていることも多い。組み入れの内容がインデックスとたいして変わらないのであれば、コストの高いアクティブファンドはインデックスに負けるのは当然である。

 そしてもう一つの理由は、日本の大手運用会社では投資信託の設定本数が多いため1本あたりの純資産額が小さいことである。事実、運用本数の少ない独立系運用会社においては市場平均を上回る成績を上げている投資信託が多い。金融庁が昨年6月に出した「資産運用業高度化プログレスレポート」においてもそのことは指摘されている。

 したがって、個別企業の持つ付加価値、すなわち収益を生み出す力が強いか、そして他の企業と比べて競争優位性があるか、その結果として高い成長性が持続するかどうかを基準として銘柄を選定し、集中投資することによって高い運用成果を出すことは決して不可能ではない。

 個別株式に投資をするのであれば、こうしたアプローチで投資するのが王道と言っていいだろう。筆者が米国株や日本株への個別投資をしているのは、そういうことができる時間的なゆとりがあることと、そもそもそういう銘柄を自分で調べるのが好きだからやっているだけのことだ。

 一方では自分の年齢(69歳)も考えるとリスクを取り過ぎないようにしたいという考え方もあるので、運用資金の一部はグローバルな分散投資型のパッシブファンドを購入している。要は、自分の考え方やリスク許容度、運用する資金の性格などを考えた上でそれに合う運用スタイルで考えれば良いのである。

 最初の話に戻って「米国株かグローバル分散投資か?」という観点で考えてみれば、どちらの方が長期的にもうかるか、という相場予測も重要かもしれないが、それを完全に当てるのは難しい。

 したがって、より大切なのは自分の好む運用スタイルで考えることだろう。アクティブ運用、あるいは集中投資が自分の考えやスタイルに合っていると判断するのであれば米国株投資、そうではなくパッシブ運用や分散投資を好むのであればグローバル分散投資という分け方でおおむね間違っていないと思う。あるいはどちらか一方ということではなく、筆者のように一定の比率でアクティブとパッシブを分けるというのもあっていい。大事なことは自分の運用ポリシーをしっかりと持つことだろう。

(経済コラムニスト 大江英樹)