日本にもメガベンチャーが台頭しつつあるが、本気で海外を攻めるテック企業は少ないのも事実である。その中で果敢に米国市場を開拓するのがメルカリだ。前期は初の通期黒字化、米国も第4四半期は黒字転換したが、引き続き目先の利益確保よりも企業価値の最大化を目指す。特集『目指せGAFA! メガベンチャー番付』(全10回)の#7では、山田進太郎CEOにグローバル市場の攻略やメルペイなどの新規事業について直撃したロングインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
世界で通用しないと
最終的にはジリ貧になる
――赤字が続いていた米国事業に対していろいろな声があったと思いますが、前第4四半期は初めて黒字に転換しました。
どうこう言われること自体は慣れていますから。メルカリを始めるときにも「別にヤフオク!でいいじゃん」という声もありました。
私自身は米国には可能性があると思っていました。難しいとは聞いているし、うまくいかない可能性もありますが、やることによって学べる、失敗して学べることもあります。
案の定いろいろな失敗はしましたし、これぐらいの規模ではまだ成功とは呼べないと思っていますが、やはりトライするということが重要だと思います。
――インターネット企業で、海外で成功している企業は非常に少ないのが現実です。
いわゆるテックの会社で、海外で大成功した会社はないというのはその通りだと思います。ですが、自動車メーカーさん、電機メーカーさん、最近だと任天堂さんなどのゲーム会社……、海外で成功している会社はたくさんあります。
実際やってみて、インターネットの会社でも成功できないことはないという感触です。ただし、圧倒的に試行回数が少ない。
楽天グループさん、ソーシャルゲームの会社などがやられていますが、数えるほどです。ノウハウもたまってない。僕らも暗中模索でやってきました。
能力的に難しいことはないと思っています。われわれは自分たちが先鞭をつけられるように精いっぱいやっていくっていうタイミング。今は過渡期なのかなと考えています。
日本にも米グーグルさん、米アップルさんなどが入ってきています。インターネットの会社は、ある意味でグローバル展開をしやすい。
「攻撃は最大の防御」ではないですが、世界的に通用するようなサービスを作れないと、最終的にジリ貧になります。投資と考えた場合も、難易度は高いけれどもリターンは大きい。
――前期(2021年6月期)は通期でも黒字化を達成しました。ですが、引き続き利益拡大よりも企業価値最大化を目指して先行投資を継続する方針を打ち出しています。