メガベンチャー番付#1Photo:PIXTA

特集『目指せGAFA! メガベンチャー番付』(全10回)の#1では、創業30年以内の企業の時価総額ランキングを発表。1999年のマザーズ市場の誕生から20年強、日本にもベンチャー企業が育ちつつある。資金確保が容易になり、従来のように早期の黒字確保だけではなく、トップライン拡大による成長重視の企業も増えてきている。上位企業のうち今後も成長する企業はどこ? 決算説明資料で注目すべき数字はどれか。上場ゴールで終わらせない経営者の見極め方など、トップレベルのアナリストやベンチャーキャピタル経営者が明かす。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

GAFA4社に勝てない日本企業だが
メガベンチャーが台頭しつつある

 GAFA4社=東証1部2200社――。

「菅首相の総裁選不出馬」の報道で、TOPIX(東証株価指数)が31年ぶりに高値を更新。日経平均株価も3万円を回復した。だが、依然としてGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)の時価総額合計は日本株全体と同じ水準にある。巨大テック企業4社に、東証に上場する約3800社が束になってかかっても勝てないのだ。

 平成元(1989)年、バブル絶頂時の世界時価総額ランキングでは上位50社中、日本企業は32社。トップ5はNTTと日本の銀行で独占していたが、現在は上位50社中、日本企業はトヨタ自動車のみである。

 日本企業の存在感の低下はさまざまな要因があるが、企業の新陳代謝が進まなかったのも原因の一つである。例えばGAFAの場合、アップルを除くと創業は90年以降。フェイスブックは2004年の創業である。実は、GAFAは巨大な「メガベンチャー」なのである。

 なぜ、日本にはGAFAのような企業が生まれなかったのだろうか。ベンチャーの中でも規模の大きいものをメガベンチャーと呼ぶ。そのメガベンチャーを目指す企業に投資をするフェムトパートナーズの磯崎哲也ゼネラルパートナーはこう指摘する。

「高度経済成長の時代の日本企業は銀行融資で伸びてきました。ところが、銀行は極めて低い利鞘の商売でリスクを追求できないため、担保もないベンチャー企業にはなかなか融資しにくい。実際、GAFAに代表される米国の成長企業はエクイティファイナンス(株式による資金調達)で伸びてきました」

 株式による資金調達は、企業価値が伸びると、創業者も投資家も従業員も提携先も潤う。これが米国経済にダイナミズムを生んで、次々とベンチャー企業が誕生してきた背景である。

 とはいえ、ここにきて日本にも変化が起きつつある。近年はベンチャーキャピタル(VC)による資金提供も潤沢になってきているのだ。

「ここ数年で調達額が桁違いに大きくなり、有望なビジネスモデルのベンチャー企業であれば、副業で稼いだりしなくても、本当にやりたい事業に専念できる環境が整いつつあります。その結果、従来よりも成長スピードが加速してきています」(磯崎氏)

 次ページでは91年以降に創業された企業の時価総額ランキングを掲載。「メガベンチャー」が多数そろっている。注目すべきは、日本を代表する225社で構成される日経平均と比較して、売上高の伸び率が高いことだ。

 ランキング上位企業はなぜ成長することができたのか。今後も成長を続ける企業はどこ? 決算説明資料で注目すべき数字はどれか。上場ゴールで終わらせない経営者の見極め方など、トップレベルのアナリストやVC経営者が明かす。