引き際を感じた経営者が「居座り続けない決断」をした方がいい理由Photo:PIXTA

新時代についていくふりで
なんとか体裁を保つ経営者

 東京オリンピックのアスリートの活躍は大変刺激的だった。とくに日本の若い世代が台頭する姿を見て、50代以上の世代の経営者のなかでは、そろそろ引退したほうがよさそうだという声がちらほら聞こえてきている(もちろんそんなことは口が裂けても表向きには言わないが)。

 その理由は意外と単純で、体操の内村航平選手は負け、野球のマー君(田中将大選手)もあまり活躍できず、競泳の萩野公介選手も瀬戸大也選手も振るわなかった。一方で若い人たちが活躍した。これはもうどう見ても世代交代しなければならないだろう、といった感覚的な話だ。

 実は、この話、オリンピックはトリガーにはなるかもしれないが、直接の原因ではない。すでにいろいろなところで、自分たちが第一線から退いた方がよいという場面に遭遇しているのである。

 例えば、最近のDXやらAIやらブロックチェーンの話。正直、何のことかさっぱり分からん、という感覚がある。とはいえ、皆さん勉強家なので必死で勉強した(している)。その結果、どうにかそれっぽく話はできるようになってはいる。

 しかし、勘が働かない。新技術も(とりあえず)理解し、新しいビジネスモデルも把握した。全体像もつかんでいる。しかし、何が成功のカギか、どこに勘所があり、どう競合と戦えばよいのか、何を基準に意思決定すればよいか、実はよく分からないのである。でも、意思決定をしなくてはならない。

 その場合、どうするか。