特許名はバカ正直に書かない
「手形は切らない」「自転車操業もOK」は、ウチみたいな製造業では結構非常識なやりかただと思うけど、それに「ニセモノ・ウェルカム」の鉄則が加わる。
「ニセモノ・ウェルカム」とは、自分のところで開発費を投じて作った商品でもよそにどんどんまねしてもらうということ。この鉄則にもちゃんと理由がある。
最初から「あれはまねできへんわ」というレベルの商品を出すと、みんなあきらめてしまう。だから、ここは「まねしたろ!」と思わせるようなレベルの商品を出す。日本のメーカー、中国のメーカー、アメリカのメーカー、ヨーロッパのメーカー、みーんながまねしてくれたら、どうなると思う?
ウチみたいなちっちゃい会社が1社でちまちまやっていたんじゃ到底行けないところまで、マーケットが一気に広がっていく。で、マーケットがめいっぱい広がったところで、「あれは、さすがにまねできへんわ」とあきらめるような商品をドーンと投入すればいいわけ。
中小企業1社の力なんて、知れたもの。だからこそ「ニセモノ・ウェルカム」で、よその力を借りてマーケットを押し広げる。
ただ、いくら「ニセモノ・ウェルカム」で行くと言っても、特許名くらいは隠しておいたほうがいい。普通の人が特許を取ると、取ることが嬉しくて仕方がないからパッと見てわかるような名称をつける。でも、プロはそんなヘマはしない。じゃあ、どうするか。
たとえば、高速水着素材を登録する場合、間違っても「速く泳げる水着」なんて書かない。そんなふうに書いたら、一発で検索されてしまうから。代わりに「ゴム素材」とか「水中用具」とか、人が見ても高速水着を連想しないような名称を書いておく。ただ、それだけのこと。キーワードで検索できるのは名称だけだから、こうしておけば見つかることはまずない。まあ、このくらい超基本的な防衛策はしておいてもいいんじゃないかな。
次回(11月28日)は、ウチを支える「商品開発の鉄則」を紹介しよう。
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