今こそ、子どもへの投資を

 では、具体的にどうやって「日本流シュリンコノミクス」を確立していくのか。年金など社会保障改革などはもちろん、個人的に鍵となるのは「子どもへの投資」だと思っている。

 OECD Family Databaseによれば、子どもに対して社会がどれだけお金を出しているのかという「家族関係社会支出」の割合が高い国であればあるほど、子どもの貧困率が下がり、出生率も上がっていく傾向があるのだ。

 これまで日本では50年以上、「大人」にフォーカスを当てた少子化対策に取り組んできた。女性を働きやすく、男性も子育てや家事に参加しろと口すっぱく言ってきたが、出生率はまったく改善していない。つまり、考え方が根本的に間違えていた可能性があるのだ。

 ただ、この「子どもへの投資」に関しては、「人口減少」を掲げる野田氏が強く訴え、他候補者も子どもへの財源を倍増することを明言するなどの動きが出ている。これは明るい兆しといえる。

 もちろん、ミサイル防衛やらも重要だが、中国に攻め込まれる前に、国が滅んでいては本末転倒だ。今の調子ではあと80年で日本人の数は半分になってしまう。

 次の総理はぜひ安全保障の観点からも、「子どもへの投資」を中心としたシュリンコノミクスで、人口減少という「国難」に真正面から挑んでいただきたい。

(ノンフィクションライター 窪田順生)