クエン酸をプラスし
カルシウムの吸収率をアップ

 運動不足と日光不足の解消と同時に、必要な栄養素を摂取していこう。ここで登場するのが「カルシウム」だが、実は、カルシウムは吸収効率が悪い栄養素なのだという。

「カルシウムは、もっとも吸収率の高い牛乳でも78%しか人体に吸収されません。しかし、そこに『クエン酸』を加えることで、吸収率が85%にアップすることが判明しました。これはラットを用いた実験の結果ですが、人体でもこの数値は大きく変わらないと思います」

 そう話すのは、県立広島大学保健福祉学部理学療法学科の教授・飯田忠行氏だ。クエン酸がカルシウムの吸収率を上げるのは、クエン酸が持つ「キレート作用」の効果だという。

「『キレート』とは、ギリシャ語で『カニのはさみ』という意味です。クエン酸がカニのはさみのようにカルシウムを包むことで、カルシウムが水に溶けやすい形、すなわち吸収されやすい形に変化します。食品のなかでも、カルシウムの含有量が多いのが乳製品、クエン酸の含有量が多いのがレモンなので、乳製品とレモンを一緒に摂取すると効率的にカルシウムを吸収できるでしょう」(飯田氏)

 飯田氏のおすすめは、レモンを用いたミルク系飲料や、レモンの「ちょい足し」料理だ。

「牛乳+レモン+はちみつで、ラッシーが作れます。あらかじめプロテインシェイカーなどに『牛乳はこの線まで』と量が分かる線を引いておけば、いちいち計量の必要もなく手軽に作れますよ。ほかにも、ポテトサラダやタルタルソースにレモンの果皮をちょい足しするのもおすすめです」(飯田氏)

 また、「晩酌シーンも、一工夫でレモンの楽しみ方が変わりますよ」と、うれしい情報も。

「これからの季節は、焼酎のお湯割りにレモンを搾って作る『焼酎のレモン割り』がおすすめです。その際、レモンの皮を下にして搾り沈めてみてください。お湯割りの湯気にのって香りが楽しめリラックスできます。ただ、美味しいので飲みすぎには注意です」(飯田氏)

 家飲みの機会が増えている今、賢い飲み方でコロナ禍特有の悩みにアプローチできるかもしれない。

 いずれにせよ、骨の健康を保つには、適度な運動と日光、そしてカルシウムの効果的な摂取が肝要といえそうだ。