2015年7月、当時のジョー・バイデン副大統領と写真に収まるエリザベス・ホームズ氏2015年7月、当時のジョー・バイデン副大統領と写真に収まるエリザベス・ホームズ氏 Photo:MediaNews Group/East Bay Times via Getty Images

 先日、シリコンバレーを拠点としていたセラノスの創業者、エリザベス・ホームズ氏の詐欺罪に対する裁判が、米国メディアで大きく報道された。同社は、「少量で血液検査可能」という画期的な技術を開発するとの触れ込みで注目を集めたスタートアップ企業で、日本円(以下全て1ドル=100円で換算)で総額1400億円規模の資金を集め、一時は企業の評価額が1兆円規模にまで膨張。しかし、ホームズ氏が主張する技術開発は既に頓挫していたのにもかかわらず、それを隠していたことが発覚し、同社は2018年に解散するという大スキャンダルだった。

 米国メディアはこれを大々的に取り上げ、「スタートアップ企業がとてつもない富を得るために、“うまくいくまで、うまくいっているふりをする”というシリコンバレーの文化は詐欺師を生む土壌であり、それによりシリコンバレーの影響力、支配力には陰りが出てくるだろう」とやゆしていた。

 しかし、シリコンバレーで新事業を起こす起業家、それらに投資するベンチャーキャピタル(VC)の間では、セラノス事件を気にする人はいない。シリコンバレーの流儀に沿っていれば、このようなことは起きないと、多くのシリコンバレーの住人は考えているようだ。事実、このようなメディアからの“雑音”に関係なく、シリコンバレーのVCやスタートアップ企業は成長を続けている。