「最初に場を定義すること」の重要性が、
ますます高まっている

 ところがその後時代は劇的に変化するとともに、日本経済は「失われた30年」ともいわれる先進国でも有数の低成長に突入しました。「勝てるゲーム」を更地から考えなければならなくなってきたのが、アーキテクト思考が求められる大きな要因の一つといえます。

 GAFAMといわれるデジタル時代の申し子としてのプラットフォーマーは、全てこの「場」を提供することで圧倒的な存在感を出しています。

 もちろん「その上でうまく踊る」ことの重要性は否定するものではありませんが、「おいしいところは全てプラットフォーマーに持っていかれ、あらゆる情報も取られる」というプラットフォーマー一人勝ちの構図は、我々が個人としてもビジネスのプレイヤーとしても日々痛感していることです。

 さらに多くの製造業等では、単に良い製品を作れば売れるというゲームから、顧客課題を一から考え直して新たな顧客価値を考えなければならないゲームに変化していますが、なかなかそのような意識転換が図れていません。

 社会のデジタル化は「新たな場の全体像を構想する」ことを物理的な世界より圧倒的に簡単にしています。物理的な製品であれば、「市場でシェアを奪い合う」という発想でシェア3位なら3位なりの、5位なら5位なりの戦い方や市場での生存の仕方がありました。

 ところが、デジタルプラットフォームの世界は「プラットフォーマー一人勝ち」の構図が強くなり、「市場シェア」という言葉もモノづくり中心の世界とは位置づけが異なっています。

 このような状況下では、「最初に場を定義すること」の重要性が従来より上がっています。