「当初、ファミマ本部は店舗加盟者が勤怠データ(シフトの控え等)を確認し、立て替えで給与を支払うように要請したものの、資金的に余裕がない加盟店から猛反発が起きて断念しました。現在は本部立て替えで給与を処理中ですが、9月20日の週になっても給料が未払いになったままのスタッフもいたようです」(同前)

 東日本エリアのトラブルを受けて、西日本エリアはバージョンアップを中止し、西日本エリアへ被害が拡大することはなかったという。しかし、ファミマ本部はシステム障害については社内の一部にしか発信をしておらず、外部公表もしていない(9月27日時点)。ファミマは今年の4月に“システムセキュリティーの専門家”との評判を持つ北野隆氏をCIO(最高情報責任者)兼システム本部長に任命したばかり。同氏は伊藤忠商事からの出向者だった――。

伊藤忠によるファミマ完全子会社化で
経営体制は大きく刷新された

 伊藤忠商事は昨年8月、ファミマに対して株式公開買い付け(TOB)を行い完全子会社化。今年の3月には伊藤忠の“次期社長候補”ともいわれる細見研介氏をファミマの社長に送り込んだ。ファミマ前社長の澤田貴司氏は代表権を持つ副会長に就くなど、経営体制も刷新された。

 細見社長は就任時会見において「『稼ぐ・削る・防ぐ』の三つの観点で今後の施策を整理し明確化する」と述べ、成長路線へのかじ取りに期待が集まった。

 子会社化から約1年、ファミマの売り上げは好調に推移しているという報道も出るようになった。会社設立40周年ということもあり、3月から「40のいいこと!?」というキャンペーンをはじめ、新企画やCM出稿など販促費をふんだんに使ったPRを行ってきたことも好影響した、と分析されている。ファミマの既存店の月次売上高(前年同月比)は、直近の8月こそ0.7%減と微減したが、4月9.1%増、5月7.4%増、6月3.3%増、7月6.5%増と、セブン−イレブンやローソンと比較しても圧倒的な伸びを見せているのだ。

 だが、「実態は真逆で、かなり苦戦中」と語るのは、別のファミマ社員である。