「らしさ」の数だけ働き方があるダイバーシティ社会
生産年齢人口*16 の減少に歯止めはかからず、企業にとって人材獲得は大きな課題になりつつある。中核となる正社員を対象にした人材開発や働き方改革だけでなく、育児や介護など家庭の事情でフルタイム勤務が難しい人やWワーク、副業を考えている人、また、社会との接点が途切れてしまったミッシングワーカー*17 など、さまざまな事情を持つ人をいかに掘り起こしていくか、働き方の多様性をどう広げるかといった点が日本社会の岐路となることは間違いない。
*16 日本では、「15歳以上65歳未満の人口」を指す。
*17 主に、働くことを諦め、求職活動さえできない状態の人(NHK「NスぺPlus」 “消えた労働者”ミッシングワーカー「働く」と「介護」の狭間で より)
路川 “ダイバーシティ&インクルージョン”という言葉はすでに多くの企業でキーワードになっています。これは、単に従業員数を確保するためにさまざまな属性を持つ人材を受け入れる、ということではありません。多様な人材が持つ多様な価値観は、イノベーションの源ですよね。多くの可能性を持つ人材を「労働条件を満たせないから」という理由だけで眠らせておくことほどもったいないことはありません。
事情があってフルタイムの正社員として働けなくても、制約を取り除けば高い能力を発揮することができる“ハイスキル人材の時短派遣”――働きたいという意思のあるすべての人が働ける社会、「らしさ」の数だけ働き方がある社会の一助となることを路川さんは目指している。
路川 このコロナ禍によって、たくさんの人が人生を見つめ直し、改めてワークライフバランスを考えるようになりました。自らの意思で働く時間と場所、業務内容を選ぶことができる“派遣”という働き方は、これからさらに広がっていくと思います。さらに言えば、培ってきた高いスキルがきちんと評価されて対価を得ることができれば、「自分は価値のある人間だ」という誇りや自己肯定感を持つことにも繋がります。私は、ZIP WORKERとして働いている方とも派遣先企業の方とも直接お話しする機会が多いですが、双方がとても幸せにお仕事をされていることを実感しています。