教職員も学生も移民で激減

 その結果、あっという間に教協は瓦解。残ったのは、親中派の教職員組合ばかりで、「会員の政治的立場とは関係なく、その権利保護に力を尽くす」と主張してはいるものの、今や「民主派」というだけでレッテルが貼られ追い落とされる時代にその言葉を信じる人はおらず、行き場を失った教職員たちは途方にくれている。

 教協はもともと1970年代に、小学校校長だった司徒華氏らが設立した組織である。親中メディアは「反中組織」「香港を混乱させた」などと非難するが、実はイギリス植民地時代下で薄給だった教職員らの給料引き上げを政府に要求し、教育を充実させることでその向上を図ったのは教協だった。さらには、英語主体の義務教育に中国語教育を導入させたのも教協である。そこから教協幹部は政治の世界との関わりを持つようになり、司徒華氏は植民地政府下の最高議決機関・立法局の議員を務め、また主権返還後の立法会にも教育界からは教協が擁立した候補者が民主派議員として活躍してきた。

 教育界では国家安全法の施行以降、危機感が高まっている。今年9月の新学期の統計では昨年比で教職員が激減、また学生数も2000人減少したことを、香港教育局が明らかにしている。その原因は移民で、教協の瓦解により、さらにその不安要素が増したことになる(参考記事:中国化が止まらない香港で、移民ブームと公務員の大量辞職が起きる理由)。