ロシアが政府系ファンド(SWF)からの支出を抑制する検討に入った。背景には、世界的な化石燃料からの脱却の流れがロシア経済の屋台骨を脅かしていることがある。ウラジーミル・プーチン大統領は石油・天然ガス収入を運用する1900億ドル(約21兆1000億円)規模の「国民福祉基金(NWF)」について、支出基準の厳格化を検討するよう、政府に指示した。現行規定では、ファンドの流動資産が国内総生産(GDP)の7%に達すれば、当局はファンドからの資金拠出が可能となっている。プーチン氏は今回、これをGDP比10%に引き上げることを求めており、ファンドからの資金拠出を実質的に制限する。これに先立ち財務省は、世界的な化石燃料からのシフトや炭素排出削減の動きにより、ロシアでは2030年代初頭から予算に影響が出てくるとの見通しを示していた。石油・天然ガスはロシアGDPの最大2割を占めるほか、輸出品の大半は燃料・エネルギー製品だ。
露が脱石油に危機感、政府系ファンド支出抑制へ
有料会員限定
あなたにおすすめ