「射精障害が起こらない」「日帰り手術も可能」…“体に負担が少ない”前立腺肥大の新治療とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

「尿の切れが悪い」「排尿後にちょっと尿が漏れる」「夜中に何度もトイレのために起きる」……。こんな症状に心当たりがある男性は、前立腺肥大症かもしれない。前立腺肥大症は、もともとは栗の実程度の前立腺が、鶏卵やミカンくらいの大きさに肥大し、膀胱を圧迫して頻尿、尿意切迫感、残尿感などの排尿トラブルをもたらす病気だ。その治療はここ数年で大きく進歩し、体への負担の少ない治療選択肢も出てきている。自分でできる排尿トラブルの対処法と前立腺肥大症の最新治療を専門医に聞いた。(取材・文/医療ライター 福島安紀)

40歳以上の排尿トラブルの多くは
前立腺肥大が原因

 男性なら誰でも中高年になれば、前立腺が徐々に肥大化する。前立腺肥大症の患者数は100万人以上で、50歳以上の3割、70歳以上では7割以上が前立腺肥大とみられている。

「日本排尿機能学会が2023年に実施した下部尿路症状調査では40歳以上の男性の85%に、何らかの排尿トラブルがあることがわかりました。最も多いのは、1日8回以上トイレに行く頻尿、就寝中に排尿のために起きる夜間頻尿、急にトイレに行きたくなって尿意切迫感などの畜尿症状です。

 今回の調査では、20代~30代でも約23%が、排尿後に尿で下着を濡らしてしまう“チョイ漏れ(排尿後尿摘下)”を経験していることが判明しましたが、40歳以上の男性の排尿トラブルの多くは、前立腺肥大症が原因と考えられます」

 そう説明するのは、日本大学医学部泌尿器科主任教授の髙橋悟氏だ。前立腺肥大症の症状には、ほかにも、排尿の勢いが途切れる「尿勢低下」、排尿中に尿が途中で途切れる「尿線途絶」、腹圧をかけないと尿が出ない「腹圧排尿」、尿が出始めるのに時間がかかる「排尿遅延」、排尿後に尿が残っている感じがする「残尿感」などがある。

 では、どのような時に何科を受診したらよいのだろうか。