日本政府のコロナ対応は、日本型組織の限界を再び明らかにしたといえるだろう日本政府のコロナ対応は、日本型組織の限界を再び明らかにしたといえるだろう Photo:JIJI

負けに不思議の負けなし

 7週間にわたってこの連載を書き続けてきた。政治という「生モノ」、まして新型コロナ感染を題材として扱うのは、案の定、難しいことだと痛感した。

 執筆開始時は、まだ東京五輪の開催中だった。それが現在は、自民党総裁選挙の真っ最中である。まさか菅義偉首相が退陣表明をするとは思っていなかったが、さまざまな国のコロナ事情と政治家の対応を紹介しつつ、最終回では日本を取り上げるという当初の狙いにはぴったりの展開だ。しかるに、締め切りの問題がある。本稿が掲載されるころには、新たな自民党総裁、新しい日本のリーダーが誕生していよう。それが誰かは現時点では分からないのである。

 感染状況も驚きの展開となった。8月中の新規感染者数は日々怖くなるほどに増加した。ピーク時には1日に2万5,000件超となり、緊急事態宣言は一時、21都道府県まで対象地域が拡大された。だが、足元では感染者数は減少に転じ、9月21日時点では1,766件となっている。しかし、これで安心していいのだろうか。年末ごろには第6波がやってくるのではないか。果たして10月以降は、出張や外食の予定を入れてよいのかなど悩みは尽きない。