4月のある日曜日のこと。金融サービス業界で働くジョナサン・フロスティックさん(45)は机に向かい、仕事の準備をしていて心臓発作に襲われた。妻と遺言のことが頭をよぎった。こうも思った。「明日、上司に会わなければならないのにまずいぞ」フロスティックさんは一命を取りとめ、生活を変えた。週に3回は必ず泳ぎ、一番下の息子を保育園に送り届ける。(少なくなった)仕事の時間には、冷静で決断力が増したと言う。やらなくてはならないことがあり過ぎる時は、翌日に仕事を持ち越すようにしている。ミーティングは30分が適切だと断言する。「仕事人間だった」と、フロスティックさんは振り返る。あまりに多くの時間を費やしたり、休暇を取らなかったり、朝6時の電話会議を断れなかったり――その裏にはもっと大きな問題が潜んでいる。それは、私たちを疲労困憊(ひろうこんぱい)させ、アイデンティティーの一部を追いやる仕事への愛着だ。長い間、仕事の意義と目的を見いだすよう私たちは言われてきた。その一方で、教会などの存在感は薄れていった。そこに、新型コロナウイルスが流行した。