超高齢化社会のニッポン――2013年の「高年齢者雇用安定法」の改正で、65歳までの雇用確保が義務化(65歳定年制)され、2025年4月からは65歳定年制が定年制を持つ全企業に適用される。再雇用を含めて、65歳以上でも働けるような令和の時代に、シニアが仕事の“適性検査”を受けて、「自分のパーソナリティを知り、自分に合った職を見つけること」は一般的になるかもしれない。そもそも、新卒などの採用時に行われる“適性検査”とはどういうものなのか? それをシニアが受検することで、企業の人事部と本人に生まれる気づきは何か?(フリーライター 間杉俊彦)
人柄(パーソナリティ)を診断する“職場適応性テスト”
職場適応性テストの「DPI」(開発・販売/ダイヤモンド社)は、企業・団体などが人材採用のために使用することを想定して開発されたもので、求職者対象の“適性検査”のひとつである。
「DPI」の大きな特徴は、人材のパーソナリティ特性である「態度能力」を診断することであり、1965年に開発されて以来、あらゆる業種業態の企業に利用され、年間約40万人が受検するという。
「態度能力」とは耳慣れない言葉かもしれないが、これは人間の能力のうち、知的能力と技能・技術的能力以外のパーソナリティに結びついた能力のことを指す。
「態度」とは、一貫した行動傾向のことだ。たとえば、「率先してチャレンジする」「難しい課題のほうがやる気が出る」といった人物は「挑戦意欲が強い人」と皆が認識するように、物事に対する行動の取り方を系統的に集めたものを「態度」と呼んでいる。
「DPI」ではビジネスシーンで必要と考えられる「態度」を「職場適応力」として14の特性(項目)にまとめ、それらを「態度能力」と呼ぶことで、各職場での発揮度合いを測定・評価している。
14の特性(項目)の内訳は、「積極性」「協調性」「慎重性」「責任感」「活動性」「持久性」「思考性」「自主性」「自己信頼性」「共感性」「指導性」「感情安定性」「規律性」「従順性」である。
「DPI」の設問(132問)に回答すると、この14の特性(項目)それぞれのスコアが5段階で評価され、受検者の「態度能力」が浮き彫りになるという仕組みだ。
総スコアは点数(合計点)によって示されるが、「DPI」は知的能力検査などとは違い、「合計点が高い=(受検者が)優れている」とは見なさない。どの特性の数字が高いのか(低いのか)に着目し、その企業に合った人物を見極めるための手段となる。
人材を採用する企業側の視点からすれば、業種や職種によって重視するべき「特性」は違うはずだ。たとえば、営業がメインの会社なら「積極性」「活動性」などを重視するだろうし、金融業であれば、「規律性」を重んじるかもしれない。企業そのものや企業内の各職場が求める人材像をもとに、新卒・中途採用時に検査を行い、そのスコアを選考材料のひとつにするのである。従って、「DPI」を使用する際は、まずは自社の採用基準のイメージを明確化しておくことが望ましい。簡単に言えば、「我が社に向いている人、我が社の○○の職場に見合う人」をあらかじめ定義しておくことだ。