就労に加え、在留外国人の生活サポートも望まれる
受け入れ企業と就労する外国人、そして、その間に立つ機関(監理団体・登録支援機関)――3者が寄り添い、解決すべき課題は多そうだ。
岡﨑 課題のひとつは、雇う側が、「○○さんを雇いたい」ではなく、「『技能実習』で雇いたい」というふうに、人ではなく制度しか見ていない採用になるケースがあることでしょうか。「特定技能」は転職ができ、人材の流出もあるので、「我が社は技能実習がいい」という姿勢もあります。一方で、外国人の方たちは日本で働いている間にFacebookなどでさまざまな情報をやりとりします。たとえば、「ゴネたら給料が上がった」なんて情報も行き来するのです。できるだけ高い賃金を望みながら仲間同士で情報交換する外国人に対し、企業さんは、「賃金アップを望むなら日本語や仕事の能力をもっと高めてほしい」と思っています。そうしたすれ違いがあるなか、監理団体や登録支援機関は、日本語教育を含めて、外国人の方をできるだけサポートしてあげたいという思いを私に打ち明けてくれます。日本で暮らし、働くための正しいスキルやマナーを伝えていきたい、と。それは、「Linkus」を展開する私たちも同じです。
「Linkus」に登録している外国人は、画面上で登録支援機関や受け入れ企業を探すことができる。そうした就労支援に加え、岡﨑さんは「外国籍人材の生活面のサポートも行っていきたい」と会社の設立時から語っている。
岡﨑 現在(2021年9月現在)はまだ、「Linkus」にはしっかりした機能を搭載していないのですが、すでに、生活面をサポートする目的でオウンドメディア「Linkup Journal」*14 を運営しています。「特定技能」に特化したBtoB向けの情報発信と「やさしい日本語」を使ったBtoC向けの情報発信です。今後、そのメディアと並走して、「Linkus」ユーザーの各アカウントのトップページに生活サポートメニューの入り口を作っていく予定です。話を進めているところでは、海外送金や不動産、それと、SIMカード購入、Wi-Fiといった通信系サービスなどです。
*14 BEENOS株式会社プレスリリース「外国人雇用をテクノロジーで支援するBEENOS HR Linkが、訪日外国人のはたらく、くらす、生きていく を支援するメディア『Linkup Journal(リンクアップジャーナル)』を開設」(2020.12.24)