投資家はここ30年にわたり、名実ともに共産党が支配する中国が掲げる共産主義的な主張を無視することにあまりに慣れ切っていたため、その指導者が平等社会の実現を経済政策の柱に据えると、かなりの胸焼けを起こした。そのため、習近平国家主席が8月半ばに行った「共同富裕(共に豊かになる)」に関する発言の詳細要旨が10月15日に公表されると、相当な関心を引いた。党中央機関誌「求是」に掲載された要旨からは、習氏が当初言及していた過剰な所得の「合理的な調整」という文言に動揺した投資家や起業家の不安払しょくを狙っているフシがうかがわれる。習氏が発言した8月はちょうど、巨額の利益を稼ぎ出すハイテク業界に対して、当局が最も締め付けを強めていた時期だ。