富士通富士通では2019年に社長に就任した時田隆仁氏が単身赴任の解消やジョブ型人事制度の導入といった改革を進めている Photo:NurPhoto/gettyimages

富士通はこの1年で単身赴任者を900人減らした。対面で行っていた仕事をリモートワークと出張に置き換えたのだ。社員からの評判も良く、さらに単身赴任の解消を進める。リモートワークに適した人事制度改革を行えるかどうかが今後の課題となる。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

ライバルNECなどに先駆けて
すでに単身赴任を激減

 NTTグループは9月、転勤や単身赴任を廃止する方針を発表して話題をさらった。転勤といえば、「家族と離れ離れになる」「断れば出世できなくなる」といったネガティブな印象を持つ会社員が少なくない。旧来型の日本的雇用慣行を持つ企業の代表格ともいえる日本電信電話(NTT)が転勤の解消に乗り出すということで、世間の期待が高まったのだろう。

 ただ、NTTは転勤の解消を2022年度から段階的に行う予定で、まだ始まってもいない。

 実は、NTTに先駆けて、転勤、単身赴任の解消で実績を上げているレガシー企業がある。NTTが日本電信電話公社の時代に形成していた電電ファミリーの一員、富士通である。

 NTTほど話題にはならなかったが、富士通は、NTTより1年以上前の、20年7月に単身赴任を解消すると発表していた。

 ではなぜ富士通は、NTTや競合するNECより早く単身赴任を激減させることができたのか。