規模の大小ではなく、オンリーワンであることの価値
「社長、城島茂と学ぶ事業承継~その企業の熱意と決意~」(BSフジ)は、事業承継を行った当事者である“事業を譲った側・譲り受けた側”の人たちがスタジオで番組ナビゲーターの城島さんと向き合い、企業のあらましと事業承継の経緯、仕事観などを語っていく。
今回、「HRオンライン」はその番組収録を取材見学したが、「新米社長としてさまざまなことを学び取りたい」という城島さんが、企業紹介のVTRを食い入るように見つめ、何度もうなずく姿がことさら印象的だった。
城島 2回目の放送*4 に登場する会社さんはM&Aでの事業承継のケースですが、事業を譲り渡す庭園設計会社の会長さんは、経営者でありながら、職人さんであり、デザイナーさんでもあります。そうした方と番組を通じて出会い、仕事の方法や生き方をお聞きすることは、僕にとって大きな学びがあります。スタジオで直接に対面させていただき、VTRで日常のお仕事を拝見したことは、株式会社TOKIOの経営姿勢やモノづくりの勉強にもなりました。また、事業を譲り受ける側の社長さんは建築業のプロ中のプロの方で、最強の2人が事業承継を目的にしたM&Aで出会うなんてすごいと思いました。「2人とも格好いいなぁ。仕事への熱い思いは絶対なくしてはいけない、事業の根を絶やしてはいけないんだ」とうなずくことばかりでした。次世代に託す、紡いでいく、繋いでいく……そして、事業を拡大していく事業承継の大切さを身に染みて感じます。中小企業庁の方は、事業承継は50代から考えるのが良いとおっしゃっています。株式会社TOKIOは僕を含めたメンバーが3人ともアラフィフ。でも、会社を立ち上げたばかりなので、事業承継のことは考えていませんが(笑)……僕自身は少し念頭におきながら社長業をやっていけたらと思います。
*4 社長、城島茂と学ぶ事業承継~その企業の熱意と決意~ 第2回=2021年11月14日(日)14:00~14:30放送予定
日本には約350万の中小企業が存在し*5 、日本経済の屋台骨であるにもかかわらず、ネガティブなイメージで語られることもあり、そこで働く人たちの熱量ある実態や意思が適切に伝わることなく、「働き手が集まらない=人手不足」という悩みを抱える企業も多い。城島さんはどのような目線を中小企業に送っているのだろう。
*5 2018年6月に総務省と経済産業省が公表した「平成28年経済センサス-活動調査」によれば、全国の中小企業の数は約358万であり、その内訳は小規模企業が約305万、中規模企業が約53万となっている(2016年6月時点数値)。
城島 「大企業」「中小企業」という言葉に表されるように、各産業での事業規模によって大・中・小の区分けがあって、番組が事業承継する企業として紹介していくのは、「中小企業」の会社さんですが、大切なのは大きさではなく、オンリーワンであることだと僕は思います。事業内容にオリジナリティがあって、他社には真似できない展開をしていること。「お父さんは工場で働いている」「お母さんは事務所で働いている」といったふうに、たとえば、お子さんは漠然としたイメージしか持っていないかもしれませんが、実は中小企業ですごい仕事をしているお父さんお母さんは多いはず。大切なのは、会社の規模や名前ではなく、それぞれの人の仕事への思いでしょう。僕は、株式会社TOKIOの社長になってから、経営者やビジネスパーソンの方にお会いする機会が増えましたが、皆様のお話を聞いていると、仕事への向き合い方が本当に格好いい。どうして格好いいかと言えば、職へのこだわりがあるから。自分の仕事に責任を持っていて、それを裏付ける技術力の高さもある。
中小企業の事業承継にはいろいろな方法があって、経営者の交代劇があるわけですが、そうした格好よさをつくっている頑張りやそれぞれの思いを番組でリアルにお伝えしたいですね。会社のブランドとともに、そこで働く姿勢や資産が未来に向かってどう紡がれていくか――いまの子どもたちが大人になったときに、そのときの日本の経済だったり、社会だったり、世の中が明るい状況であるように、株式会社TOKIOも一企業として、オンリーワンを目指していきます。
事業承継を行った番組ゲストと語りながら、城島さんは「人と人の繋がり」という言葉を繰り返した。
城島 そう、普段の会社経営においても、事業承継のときも「人の繋がり」がいちばん大切ですね。それが宝物でしょう。宝石で言えば、「人の絆・繋がり・信頼関係」がダイヤモンドなのだと思います。
社長・城島茂と学ぶ事業承継~その企業の熱意と決意~(BSフジ)
<番組ナビゲーター>城島茂(株式会社 TOKIO 社長)
地域の活性化に貢献するだけでなく、世界に誇れる技術を有する中小企業。日本の企業の中で中小企業が占める割合は全体の約99%と言われている。しかし、そんな中小企業で深刻な問題となっているのが後継者不足。企業が持つ技術や考えを受け継いでいく「事業承継」が、日本の未来を救うための課題となっている。番組では、株式会社TOKIO設立から半年、新米社長・城島茂が事業承継にかかわる中小企業の経営者と専門家を迎え、課題の解決策を学び、その企業の技術・伝統・家族や従業員の生活を守り、未来に繋げることを紹介する。(番組ホームページより)
次回放送予定
2021年11月14日(日) 14:00~14:30