不正受給を防ぐためには
税務署の活躍が有効

 その際、不正受給を防ぐためには、税務署が持っている2年前の納税申告書と照合すればよいはずだ。さらによいのは「今後1年間は、納税しなくてよい。所得が減った事業者は、納税を免除し、そうでない事業者は、来年になったら2年分の税金を納めること」とする政策ではないだろうか。

 従業員の給与から天引きした源泉徴収分も含めて納税を猶予すれば、かなりの金額になるはずだ。旅館や居酒屋は大いに助かるに違いない。

 こんな策を講じても、意外に政府は困らないのではないだろうか。考え方次第では、1年間税収がなくても1年待てば2年分の税収が入るのだから、1年分の税収相当額を国債発行で調達すればよい、ということになる。どうせ金利はゼロなのだ。

所得制限は手間がかかる割に
効果が小さい

 高額所得者の子どもには10万円の配布をしない方針のようだが、賛同しかねる。高額所得者の数は知れているので、10万円を配布しなくても歳出抑制にはほとんど寄与しない。その一方で、手間がかかる分だけ配布事務が滞りかねない。

 庶民の感情に訴える政治的な効果は見込めるのだろうが、本当に格差を是正したいのであれば、高額所得者にも10万円を配った上で、問題があるならば所得税の累進課税の税率を引き上げる、といった対策のほうが望ましいのではないだろうか。