コニカミノルタ、ベルシステム24、
ベルフェイスの事例

 ここからは、実際にDDDMで成功を収めているいくつかの企業の例を紹介しましょう。

 最初はコニカミノルタです。同社は現在、経営データを見える化する「Viz-One」というプロジェクトを推進しておられます。そのためのツールとしてTableauを導入いただきました。

 導入前は、管理会計データがバケツリレーされており、集計業務に時間がかかっていただけでなく、ミスの発生リスクが高いことも大きな課題でした。さらに、情報の希釈化も起きており、詳細な管理会計データ分析ができないことに悩んでおられました。

 そこで、Viz-Oneというデータ一元化プロジェクトを立ち上げ、データ分析・共有プラットフォームとしてTableauを活用することにしました。

 コニカミノルタはこのプロジェクトを通じて、全社ダッシュボード、事業部ダッシュボードというように、経営から現場に至るまで、ありとあらゆるインサイトが全社共有できる仕組みを構築しています。

 Tableauを選んだ理由としては、使いやすさに加え、データドリブン経営への変革や、データ分析の民主化を促しやすいツールであったことなどを挙げておられます。

 次の事例は、コールセンターアウトソーシング大手のベルシステム24です。同社では、Tableauを全社導入する前に一部の社員が活用しており、会社のさらなる成長のためには、すべての社員に使ってもらい、BIを活用する文化を根付かせることが重要だと考えました。

 社員に興味を持ってもらうため、Tableauで3万人の労務管理のダッシュボードを作成し、説明会を開催するなど、積極的な啓蒙活動を展開されました。その結果、労務管理に関する情報を社員自身が日次で掘り下げられるようになり、データ活用の効果を実感していただけるようになったそうです。

 3つの事例は、オンライン営業システムなどを開発するベルフェイスです。同社は、社員のデータリテラシー向上を目指して、Tableauを駆使した「Data Driven Project」(データドリブンプロジェクト)を実践しておられます。データ起点の判断・意思決定を行うことで、非連続な成長を遂げていこうという取り組みです。

 そのために、社員全員がデータに基づいた会話ができるようにしようと考え、それを実現する仕組みを、Tableauを使って各部門に実装しました。社長みずからがリーダーシップを取りながら全社展開を図った結果、データ活用に必要な工数が80%減少するといった効果が表れています。

意識、カルチャー、リテラシーが
データドリブンな組織をつくる

 最後に、企業がDDDMを組織レベルで実践していくためには何が必要かという点についてお話ししたいと思います。

 まず大切なのは、「データドリブンな組織をつくる」という意識を持つことです。そのためには、データ活用のための柔軟かつ強力なプラットフォームを使い、誰もが必要な時に、必要なデータを必要な場所から呼び出せるような環境を整えたいところです。

 また、データに基づく意思決定に価値を見出し、データ活用を奨励し、実践するという「カルチャー」を社内に醸成することも必要です。カルチャーの一つとして、ビジネスの急激な変化に柔軟に対応できる「アジャイル」な行動姿勢も根付かせたいものです。

 さらに、ぜひ取り組んでいただきたいのが「データリテラシー」の向上です。データ活用はツールがあれば実現するものではなく、それを使う人がデータの中から何かに気づき、ストーリーを紡ぎ出せるようにしなければなりません。社員に、基礎力として「データリテラシー」を身につけさせるための投資は必要不可欠だと考えます。

 もう一つ大切なのは、社内にデータ活用の事例や成功体験を共有できる「コミュニティ」を形成することです。これは、先ほど述べた「カルチャー」を醸成するための重要な基盤になります。

 これらを手に入れるためには、確立された方法論に当てはめるのが早道です。当社は、データ活用のためのツールだけでなく、利活用を促す組織づくりや、カルチャーの醸成、データリテラシー教育などの方法論も提供しています。

 当社は9年間にわたって、世界のBIツールのマーケットリーダーとしてご愛顧いただいており、フォーチュン誌の「グローバル500」(売上高世界上位500社)から、日本のベンチャー企業まで、ありとあらゆるお客様のDDDMに向けた組織づくりを支援させていただいた実績があります。その中で学んだ成功のためのポイントを、「Tableau Blueprint」(タブロー・ブループリント)という方法論にまとめています。

 さらに最近では、このTableau Blueprintに基づいて、お客様のDDDMの取り組みにおける課題をアセスメントするサービスも開始しました。当社はこれからも、すべての人、すべての組織がDDDMを実践できるように支援していきたいと考えています。

企画・制作|ダイヤモンドクォータリー編集部