
株主総会を前に「業績が悪いのに高報酬」の社外取がいないかどうかチェックしていこう。特集『社外取バブル2025最新版 「10850人」の全序列』の#4では、純損益が赤字、かつPBR(株価純資産倍率)が1倍割れで、株価が「解散価値」すら下回るのに、報酬額が高い社外取締役ワースト575人の実名を公開する。経営危機に陥っている日産自動車の社外取が上位を独占した。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
不振企業188社575人の実名公開
経営不振の日産社外取が上位を独占
計6億4600万円――。金額は5月下旬に日産自動車が公開した株主総会招集通知で明らかになった内田誠前社長らの退職に伴う報酬だ。2025年3月期の純損益が6709億円(前期は4266億円の黒字)の赤字に陥ったにもかかわらず、日産は内田氏らに高額な報酬を支払っていたのだ。
日産は、経営再建に向けて27年度までに2万人の人員削減や世界にある17工場のうち7工場を閉鎖するリストラを進めている。日産の経営陣は業績低迷に対する責任が問われているにもかかわらず、6億円もの報酬を支払ったことに株主の批判が集まるのは必至だ。
日産を巡っては、経営不振以外にもサプライヤーに対する下請けいじめが発覚するなどガバナンス不全が度々問題視されてきた。内田氏は経営不振の責任を取る形で退任したが、ガバナンス不全を許してきた社外取締役らの責任も重い。
社外取締役が機能不全に陥っているのは日産だけではない。今回ダイヤモンド編集部が、「純損益が赤字」かつ「PBR(株価純資産倍率)が1倍未満」の上場企業を調べたところ、188社が該当した。該当企業の社外取の人数は575人に上った。
今回は、当該企業の推計報酬額、兼務社数、兼務先も含めた推計報酬額の合計、PBR、純損益の五つを評価軸として設定した。業績が低迷する企業の社外取なので、報酬額と兼務社数が多いほど低く配点。総得点が低い順に社外取575人のワーストランキングを作成した(うち3人は2社の社外取としてそれぞれランキングに登場する)。
ワースト10では、日産の社外取が上位を独占する結果となった。このほか、外資系コンサル大手の元首脳や二輪車大手の元首脳も上位に入った。次ページで、企業名と社外取の実名に加え、受け取った報酬額について見ていこう。