トランプ氏の「大うそ」を
いまだに信じている共和党員
しかし、その一方で、大多数の共和党員はいまだにトランプ氏の大うそを信じている。CNNが2021年9月に行った世論調査では、共和党員の78%がバイデン氏を「合法的に選ばれた大統領とは思っていない」ことがわかった。
そして一部の狂信的なトランプ支持者は連邦議会を襲撃し、警察官を含む死者5人、逮捕者535人以上を出す前代未聞の事件を起こした。これは米国の民主主義への脅威がかつてないほど高まっていることを示しているが、その要因の一つはトランプ氏の大うそにあると言っても過言ではない。
トランプ氏は「生まれつきのうそつき」とよく言われるが、1980年代に『トランプ自伝:不動産王にビジネスを学ぶ』(原題:Trump: The Art of the Deal)を執筆するため、1年半にわたってトランプ氏に密着取材したという共著者のトニー・シュウォーツ氏は、同氏の「虚言症」についてこう説明している。
「彼は戦略的(意図的)にうそをつき、それに対する良心の呵責(かしゃく)はまったくない。ほとんどの人はうそをつけば罪悪感があるが、彼にはそれがまったくない。それから自分が話したことは(うそであっても)真実であると、あるいは真実らしい、真実であるはずだと思い込む能力において誰よりも優れています」(雑誌『ニューヨーカー』、2016年7月25日号)。
この説明を聞くと、トランプ氏がなぜ、具体的な根拠を示さないまま、「選挙で大規模な不正があった」と主張し続けることができるのか理解できるような気がする。
しかもその口調は選挙から1年以上が過ぎてもトーンダウンするどころか、激しさを増している。トランプ流に言えば、これも戦略のうちということになるのだろう。