正直、若手の扱いに悩んでいる。
若手をどう育てていいかわからない。
優秀な若手から辞めてしまう…。
企業の人事担当者やマネジャーは、20代の若手育成に悩んでいる。
「20代の成長環境」がある企業ランキング4位
(2020年、エン・ジャパン調査)に選ばれ、
学生からも「入社したい企業」として人気が高いサイバーエージェント。
そのサイバーエージェントで、2005年の人事本部長就任より、
のべ3000人以上の採用に関わり、300人以上の管理職育成に携わっている、
書籍『若手育成の教科書』の著者でもある曽山哲人氏に、
若手育成の具体策がわかる「抜擢リスト」について伺った。
(構成/ダイヤモンド社・和田史子、著者写真撮影/増元幸司)

『若手育成の教科書』著者の曽山哲人氏に聞いた、年末年始に取り組みたい「メンバーの抜擢リスト」とは?年末年始に取り組みたい「メンバーの抜擢リスト」とは? Photo: Adobe Stock

メンバー育成について特に考えていなかった
マネジャーにおすすめしたいこと

先日の記事で、年末年始に「2022年、『メンバー育成』で実践したいこと」を書き出してみてくださいとお伝えしました。

その記事を読んだ方から、「そもそも育成について、何も考えていなかったかもしれません」という意見をいただきました。

そこで、この年末年始に「2022年、『メンバー育成』で実践したいこと」を書き出す前にぜひやっていただきたい「チームメンバーの現状洗い出しリスト」を紹介します。

以前、こちらの記事で多くの企業が若手を抜擢できずにいると書きました。

具体的には、次の3つの抜擢問題を抱えています。

1.抜擢をそもそもおこなっていない「ゼロ抜擢」
2.抜擢(人とポジション)が足りていない「抜擢不足」
3.抜擢の考え方とやり方が間違っている「抜擢エラー」

「そもそも若手を『抜擢しよう』という発想がなかった」という企業がほとんどです。

何か大きなプロジェクトのリーダーを任せるといった「大」抜擢である必要はありません。

若手に対して「期待をかけること」が抜擢です。

2022年、どんなふうにチームメンバーに期待をかけていこうか。

まずは自社(自分のチーム)の「抜擢」履歴を洗い出しましょう。

リスト化すると、抜擢の量が多い・少ないが可視化されます。

「ゼロ抜擢」「抜擢不足」問題は、リスト化することで一目瞭然です。

このリストの記入例のように、メンバー一人ひとりの名前を書き出し、実際にどのような抜擢をしたか、あるいは今後したいのかを見える化します。

すると、先ほどの3つの抜擢問題のどの状況にあるのかもわかるでしょう。

「まだ早いと思って期待をかけていなかった」(ゼロ抜擢)

「一方的に『やって』と命令してしまい、期待を伝えたり、本人の意思確認をしていなかった。だから受け身でどこか他人事だったのかもしれない」(抜擢エラー)

このように足りない部分が具体的な形で見えてきます。

このリストを書き終えてから、あらためて「2022年、『メンバー育成』で実践したいこと」を考えてみると、あなたのチームの2若手育成の方針が見えてくるでしょう。

チームメンバー全員が勝手に育ち、自発的かつ主体的に仕事に取り組むようになれば、今は多忙で時間が足りないと嘆くマネジャーのみなさんの負担も相当軽くなるはずです。それだけでなく、さらなる成果と急成長も手にすることができるでしょう。

2022年は、「若手育成」でチームは大きな成長を遂げる。

このようなイメージをもって、楽しみながら、リストへの書き出しをおこなってみてください。

曽山哲人(そやま・てつひと)
株式会社サイバーエージェント 常務執行役員CHO 曽山哲人氏

1974年神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。1998年伊勢丹に入社、紳士服部門配属とともに通販サイト立ち上げに参加。1999年、社員数が20人程度だったサイバーエージェントにインターネット広告の営業担当として入社し、後に営業部門統括に就任。2005年に人事本部設立とともに人事本部長に就任。2008年から取締役を6年務め、2014年より執行役員、2016年から取締役に再任。2020年より現職。著書は『強みを活かす』(PHPビジネス新書)、『サイバーエージェント流 成長するしかけ』(日本実業出版社)、『クリエイティブ人事』(光文社新書、共著)等。ビジネス系ユーチューバー「ソヤマン」として情報発信もしている。

2005年の人事本部長就任より10年で20以上の新しい人事制度や仕組みを導入、のべ3000人以上の採用に関わり、300人以上の管理職育成に携わる。毎年1000人の社員とリアルおよびリモートでの交流をおこない、10年で3500人以上の学生とマンツーマンで対話するなど、若手との接点も多い。