自分の仕事について「なぜ成功したのか?」「なぜ失敗したのか?」を問いかけることで、論理思考を高めることができます。成功要因がわかれば、次に応用することができます。失敗要因が分析できれば、同じような過ちを繰り返さなくてすみます。

 運がいい、運が悪いでは、論理思考を停止させてしまいます。論理思考をしたいのであれば、運のせいにしない方が賢明です。

思い込みやイライラ状態では
相手を説得できない

「なぜ?」を問いかけることで、成功や失敗の原因を究明することができます。また、仕事上の問題を解決するためにも「なぜ?」の問いかけが役立ちます。表面化している問題を改善しても、根本的な原因が解決せず、同じような問題が繰り返し発生しがちです。「なぜ?」の力で問題発生の真の原因を把握し、原因を取り除くことができます。

「営業の電話が長い」という問題があったとします。対処療法では、「電話は3分以内に切れ」です。しかしクレーム対応の電話だったとしたら、かえって問題が大きくなります。そこで「なぜ営業の電話が長いのか?」を問いかけます。「クレーム対応の電話に長引く」という原因がわかれば、「なぜクレームが発生するのか?」の問いかけから、クレーム低減が効果的な対策だとわかるでしょう。クレーム発生の原因究明をして原因を除去すれば、根本対策になり、再発防止ができます。

 高業績が続くトヨタ自動車では、「Why?を5回繰り返せ。問題の真の原因が見えてくる」と社内で教えています。

 イライラするときや結論はこれしかないと思い込みすぎると、論理思考を阻害します。イライラや思い込みが激しいと発想が短絡的になり、結論や主張をゴリ押ししがちです。

 早く主張を伝えたいと考えると、三角ロジックの論拠とデータを飛ばして、主張を強調しすぎます。また、イライラして冷静さを失っても思い込みに陥りやすく、視野が狭くなります。そのような場合、「なぜ?」という説得材料が不十分なまま主張を繰り返しても、なかなか相手を説得できません。

 思い込みやイライラ状態で自論を展開しても、屁理屈(自分の中では論理的だと思っていても相手に伝わらない状態)になりやすいのです。そのようなときは、ちょっと冷静になって、お茶でも飲んで一休みしてみましょう。よけいなこだわりを捨てて考え直す方が賢明です。