100万円が資産形成の1合目

―――貯蓄っていくらあれば不安から逃れられるのでしょうか。

荻原:にも書きましたが、私はまず、100万円を貯めることを勧めています。特に結婚する前の若い人なら、100万円あれば当面の不安はなくなります。

 100万円が資産形成の1合目。2合目は500万円。500万円なら恐らく、勤めている会社が倒産したとしても、次の仕事を見つけるまで十分に凌げる金額です。だから100万円の次は500万円を目指して頑張ってほしいと思います。

―――若いうちは500万円でもいいのでしょうけれど、シニアはどうですか。前に「2000万円問題」が話題になりました。

荻原:これは退職後の収入と支出の差額が月、約5万円で、それが30年間続くと約2000万円が不足するから自分で貯めてね、という話でした。

 でも、この問題はもう考えなくてもよくなりますよ。何しろこれからの時代は会社員であっても、70歳まで働く時代になりますから。

―――それはもう法律で決まったのですか?

荻原:今、会社にお勤めの方は、みなさんが望めば65歳までは会社が雇わなければならないことになっています(高年齢者雇用安定法)。そして令和3年4月からは、この法律が改定されて、本人が望めば70歳まで働き続けることが可能になりました。

 毎月約5万円が不足するとして、70歳から90歳までの20年間を老後と考えれば、足りないお金は1200万円。これなら退職金とそれまでの貯蓄で何とかクリアできるのではないでしょうか。

―――でも70歳まで働くのって、体力的にしんどいですね。

荻原:これからはリモートワークの時代。働き方が変わりますから、頭さえしっかりしていれば70歳どころか75歳くらいまで働けるでしょう。

 現に自営業の方なんて、80歳くらいまで働いている方もいます。健康に注意して、高齢になっても働き続ければ、お金の不安はかなり減ると思います。

 単純な話だけれど、お金の不安をなくすには、①働くこと、②収入を絶やさない方法を考えること、③健康であること。それに尽きるのではないでしょうか。

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お金の不安を解消するたったひとつの方法を教えます荻原博子(おぎわら・ひろこ)
1954(昭和29)年、長野県生まれ。経済ジャーナリスト。大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。経済のしくみを生活に根ざして解説する、家計経済のパイオニアとして活躍。著書に『役所は教えてくれない定年前後「お金」の裏ワザ』(SB新書)、『50代で決める! 最強の「お金」戦略』(NHK出版新書)、『投資なんか、おやめなさい』『払ってはいけない』(新潮新書)、『私たちはなぜこんなに貧しくなったのか』(文藝春秋)など。
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