ほとんどの人に共通する悩み、それは「お金の悩み」だ。「お小遣いが足りない」、「毎月家計が赤字」、「家を買いたいけど頭金がない」、「老後のお金をどうしよう」……。そして誰もが、こう思う。「一生、お金に困らない生活をするにはどうすれば良いのだろう」と。そんな悩みに応える1冊が、経済ジャーナリスト荻原博子氏の『一生お金に困らない お金ベスト100』だ。この1冊に、いろいろなお金の秘策が詰め込まれている。著者インタビューの5回目は、前回に続き、夫婦でお金を貯めるコツについて伺った。
(取材・構成/鈴木雅光、撮影/疋田千里)
571万人が気をつけたいこと
―――夫が働いて妻が家にいる、もしくはその逆も含めて、片働き世帯って大分減りましたね。
荻原博子さん(以下、荻原):総務省の統計を見ると、1980年時点で片働き世帯が1114万世帯、共働き世帯が614万世帯だったのが、2020年では片働き世帯が571万世帯、共働き世帯が1240万世帯だから、この40年間で逆転したという感じです。
―――ということは現状、571万人の専業主婦(夫)がいるわけですが、こうした家庭は、パートナーに先立たれたり、離婚したりすると経済的に心配です。
荻原:そうですね。ですからどんなご家庭も、まずは夫も妻もしっかり働く。これに尽きると思います。中にはお子さんが小さかったり、「妻が外に出て働くのを嫌がる夫問題」を抱える妻もいると思いますが、悠長なことも言っていられなくなりました。
ワナ① 130万円以上稼ぐなら170万円以上稼がないと損!
―――夫婦のどちらかがパートで働く場合、「扶養の範囲内で」という暗黙のルールみたいなものがありますよね。
荻原:「130万円の壁」ですね。たとえば会社員の妻がパートで働く場合、夫の扶養に入っていて、パートの年収が129万9999円までなら、自分で社会保険料を負担しなくても、夫の厚生年金で健康保険が使え、かつ年金を受け取ることも出来るというものです。
―――パート収入が130万円以上になったらどうなるのでしょう。
荻原:自分で社会保険料を負担することになります。年収130万円に対する社会保険料は年間約25万円ですから、130万円稼いだら手取りは105万円になってしまいます。130万円を超えて稼ぐとき、これを補ってプラスになる採算分岐の年収は170万円。ここには注意が必要です。
―――子どもが小さくて手がかかる場合はどう働けばいいのでしょうか。
荻原:現代版の内職とも言うべき「クラウドソーシング」があります。クラウドソーシングは仕事を求める人と、発注したい企業とを、インターネットでマッチングさせるというものです。
今、世界最大の職場はインターネットのクラウドソーシングサイト「Upwork(アップワーク)」の中にあります。ここには約1000万人のフリーランサーが登録しています。
ある程度スキルがあれば、面倒な営業活動をしなくても、こうしたところを使って自宅にいながら仕事を受注できる時代です。
本にも書きましたが、最近は主婦向けのサイトもありますから、そうしたところを活用するのもいいですね。