ズボラな人が今すぐやるべきお金の対策ベスト3

ほとんどの人に共通する悩み、それは「お金の悩み」だ。「お小遣いが足りない」、「毎月家計が赤字」、「家を買いたいけど頭金がない」、「老後のお金をどうしよう」……。そして誰もが、こう思う。「一生、お金に困らない生活をするにはどうすれば良いのだろう」と。そんな悩みに応える1冊が、経済ジャーナリスト荻原博子氏の生お金に困らない お金ベスト100だ。この1冊に、いろいろなお金の秘策が詰め込まれている。著者インタビューの3回目は、ズボラな人でもお金を貯める秘訣について伺った。
(取材・構成/鈴木雅光、撮影/疋田千里)

ズボラでも貯められますか?

――お金を貯めるには、やっぱり結構マメじゃないと難しいと思うのですが、ズボラ人間でもガンガンお金が貯まる方法ってないですか?

荻原博子さん(以下、荻原):まあ、ガンガン貯まるかどうかは、その人の稼ぎと、どれだけの額を貯蓄に回せるかにもよりますが、所得に応じてそれ相応にお金を貯めていく方法はあります。

――ぜひ教えてください!

荻原:ポイントは3つ。「仕組みをつくる」、「保障を見直す」、「節約する」です。

「社内預金」はメガバンクよりトク!

――まずはなにから始めればいいのでしょうか。

荻原:ズボラさんはまず、「貯まる仕組み」をつくることから始めてください。ここでもし、勤務先にあれば絶対利用したいのが「社内預金」です。なぜなら今では考えられないくらい利率が高いからです。

――え、社内預金って利率がいいんですか?

荻原:今の預貯金利率をご存じですか? メガバンクでも年0.002%程度です。ところが社内預金は「労働基準法第18条第4項」の規定に基づく省令で、利率の下限が年0.5%(2021年現在)と決まっているんです。しかも会社によっては1%や2%というところも!

 加えて社内預金が何より良いのは、「毎月の給料から天引きで積み立てられる」ということです。給与天引きは資産作りに最も向いていて、10年後、20年後に残高を見て驚く、という理想的な蓄財方法だと言えます。

――「社内預金」の利率がいいってあまり知られていないですよね。

荻原:案外そうかもしれません。ただ残念なことに、社内預金の制度がない会社にお勤めの方は、次善の策として「財形貯蓄」、それもない場合は、給料が振り込まれる口座から毎月一定金額を積み立てる「積立預金」を始めましょう。これらの方法を使えば、どれだけズボラな人でも結構蓄財できるはずです。 

保険でお金は貯められない

――保険でお金を貯める方法があると聞いたことがありますが、これについてはどうですか?

荻原:保険と資産形成は別物と考えるべきですね。将来、お金が戻る「貯蓄型の保険」の貯蓄部分の運用利回りは、現在、年0.3%。これはたしかに預金に比べれば高いです。

 でも今後、世の中の金利が高くなっても、貯蓄型保険の利回りはずっと変わりません。ですから長期契約になる保険を使っての貯金は、いまの時代は考えないほうがいいでしょう。

――保険って毎月毎月払うので、実は少し気になっていました。

荻原:保険の絡みで私がズボラさんにお勧めしたいのは、ネット保険への乗り換えです。同じ保障内容でも、ネット保険ならさまざまな経費が安いので、保険料は安くなります。

 あと、2021年は火災保険のまとめ払いがおトクです。火災保険は10年のまとめ払いにすると、年払いに比べて保険料が18%も安くなります。

――かなり安くなりますね。

 ただ、最長10年できたまとめ払いが、実は2022年から、最長5年に短縮される見通しです。自然災害が増えているので、保険料が上がるからです。

 ですから今の時点でお財布に余裕がある人は、今年のうちに10年分をまとめて払うとおトクです。