不動産 撤退戦線#1Photo by Masataka Tsuchimoto

マスコミ大手の時事通信社は東京・銀座に本社ビルを所有している。同社がこのビルの土地の一部を不動産デベロッパー大手へ売却していたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。特集『不動産 撤退戦線』(全5回)の#1では、マスコミなどの企業が保有する銀座の不動産の売買事情に迫る。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

時事通信が銀座一等地を売却
興味深い「売却先」と「売買スキーム」

 マスコミ大手の時事通信社が東京・銀座にある本社ビルの土地の一部を不動産デベロッパー大手へ売却していたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。

 通信社の主な事業は報道機関や企業などへのニュース配信。時事通信社は共同通信社と共に国内二大通信社だが、共同通信社と比べて影が薄く、本業でのもうけを表す営業損益で長年赤字が続いている。

 歴史的な経緯から広告大手の電通グループ株を大量保有しており、大株主順位3位(1602万株、2020年12月時点)にランクするほど。その売却益や配当金によって、最終損益は何とか形を整えてきた。

 そんな経営事情の中で、ついに虎の子である本社ビルにも手を付けた。その売却先と売買スキームが、実に興味深いものになっている。