不動産 撤退戦線#3Photo:Construction Photography/Avalon/gettyimages

リモートワークのメリットとデメリットが議論される中、LIXILは都内のオフィスを9割削減し、コロナ終息後も元には戻さない。他の大企業でもオフィス削減や縮小の動きが相次ぐ。それでも超高層オフィスビルの建設が続く都心オフィス市場は、激変必至。特集『不動産 撤退戦線』(全5回)の#3では、激変する市場の実態と今後に迫る。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

LIXILが本社9割削減&売却
大企業で相次ぐオフィス縮小

 東京都江東区。猿江恩賜公園の緑を望む大島に「KAZE」「HIKARI」「HOSHI」「NIJI」と名付けられた4棟のビルが並ぶ。これらは住宅設備メーカー大手であるLIXILの本社で、延べ床面積は計約5万7400平方メートルに及ぶ。同社はこの9割を削減することを決めた。

 400平方メートルのNIJI棟を除く3棟を売却し、2023年には品川区の「住友不動産大崎ガーデンタワー」へ移転。新たに借りる2フロアの面積は計6636平方メートルにとどまる。大島にはコロナ前から3800人分の座席があったのに対し、大崎では1000人分程度まで縮小する見通しだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、昨春から急きょ本格導入が始まったリモートワークは、大企業のオフィスワーカーを中心にかなり定着した。LIXILでは今後、在宅勤務がメインとなる。本社オフィスは「あくまで直接会って話し、コミュニケーションを取るための場」(同社)と位置付け、各所にサテライトオフィスを設ける予定だ。

 コロナ禍の影響やその前から業績が不振な企業では、本社ビルの売却やセール・アンド・リースバックで現金を確保する動きが目立っているが、業績が悪化していない企業においてもオフィス戦略を変化させている。働き方の変化とコスト削減のため、オフィスを大幅に縮小する大企業が相次いでいるのだ(次ページ表参照)。