習い事、勉強、読書、ダイエット、運動……。新しく始めたいことはたくさんあるが、忙しくて時間が作れない。そんな人は多いだろう。何かを新しく始めようとしたら、やりたいことをリストアップしているだけではダメだ。今の生活時間を占めている習慣を変えなければいけない。行動のプランニングをする必要があるのだ。そのための3ステップのコツを紹介する。
習慣化のプロとしてこれまで5万人を指導し、1000人以上をコーチングしてきた古川武士氏が、自分を整理するための「書くメソッド」を体系化した書籍『書く瞑想』から、一部を抜粋して特別公開する。

なぜ、やりたいことができないのか?<br />5万人を変えた習慣化のプロが教える<br />「スケジューリング」3つの鉄則Photo: Adobe Stock

習慣化プランで日々を変えていく

 生活習慣を改善したいと思ったとき、どのように改善していくべきでしょうか。

 やりたいことはたくさんあるけど、なかなかできないという人も多いと思います。手帳に予定を色々と書いてはみたものの、いつになっても実現できないという人は少なくないでしょう。

 今回は、やめたい習慣を減らし、始めたい習慣を増やすための「習慣化プラン」を3ステップで紹介します。

 1日のリズムの中で習慣化できるようにするには、習慣行動をプランニングしていくことです。

 まず、下の図のように「理想」と「現実」のスケジュールをそれぞれ対比して書いてみましょう。

なぜ、やりたいことができないのか?<br />5万人を変えた習慣化のプロが教える<br />「スケジューリング」3つの鉄則「習慣化プラン」の見本

 まず新たに始めたい習慣行動を「行動リスト」として書き出し、理想のスケジュールに入れてみてください。

 次に今の現実のスケジュールを書いていきます(あくまで平均的な1日を想定して)。

 最後に「減らす」「増やす」を調整していきます。

 たとえば、上の図のAさんの放電習慣(気持ちを下げる習慣)は、やや寝不足(睡眠時間が5時間半)、運動不足と体重増加、長時間残業です。

 充電習慣(気持ちを上げる習慣)は、資格の勉強・読書と夜はストレッチをして自由時間を取ることです。

 これらをすべて盛り込むとどのようなスケジュールになるのでしょうか?

 行動リストで理想をリストアップしても、現実的な時間の展開図の中で考えなければとてもバランスはとれません。

 資格の勉強と睡眠を優先したいならば、何を捨てなければいけないかがはっきりします。

 図に落とすと、どれぐらい仕事の効率化に取り組まなければいけないかがわかります。

 こうして可視化することで、ギャップがわかります。

 現実を理想に近づけるためには、一足飛びに変化していくのは難しいものです。3ヵ月ぐらいかけてじっくりとポイントを絞って取り組むと、理想の生活習慣に近づいていけます。

習慣化の法則「絞る! 絞る! 下げる!」

 習慣化を成功させるためには、「絞る! 絞る! 下げる!」です。

 たとえば、朝早く起きて英語の勉強をしたいと目標を持ったとします。

 最初の「絞る!」は、「習慣は一度に1つにする」です。

 早起きと勉強とできればジョギングもする――という目標はNGです。3つも同時に始めるとほぼ挫折します。

 まず、勉強習慣か、早起き習慣か、ジョギング習慣かを絞っていきます。

 第2の「絞る!」は、「5時に起きるためには、何をするか?」と行動ルールを決めます。

 私はセンターピン行動と呼んでいますが、例えば、22時に布団に入ること、20時までにお風呂に入ること、18時には退社することと設定していきます。

 そうすると、肝となる行動が具体的に見えていきます。センターピン行動もなるべくシンプルに1つか2つに絞りましょう。

 最後の「下げる!」は、「ベビーステップ(小さく始める)」という行動基準です。

 18時退社を目標にしたとき、現在20時退社が通常であれば、今すぐに18時退社は実現が難しいかもしれません。

 そこで、30分退社を早めることからコントロールを取り戻していきます。

「19時半に退社する」を目標にして、このラインだけは忠実に守っていく。

 一方では、24時に寝ていたところを22時にするのは難しいでしょうから、23時半に布団に入ると決めるのがベビーステップです。

 日常当たり前に動いている生活習慣を意図して変えていくためには、「絞る! 絞る! 下げる!」が大切です。

【書き方のポイント】
ステップ1:理想のスケジュールを書く
ステップ2:現実のスケジュールを書く
ステップ3:「絞る! 絞る! 下げる!」を行う
・書く時間の目安は「10分」

(本原稿は『書く瞑想──1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』からの抜粋です)