中国が40年前に「一人っ子政策」を導入した当時、政策担当者は出生数が余りに急激に落ち込んだ場合には単に政策を軌道修正すればよいと考えていた。だが現実には、それほど容易ではないことが分かってきた。出生数が毎年減少の一途をたどる中、中国は人工妊娠中絶を行う診療所を閉鎖し、夫婦への妊娠・出産支援を手厚くするなど、ここにきて全く逆方向へと急きょかじを切っている。だが、2016年に撤廃した一人っ子政策は、出産適齢期の女性の減少、結婚や家族形成に後ろ向きな一人っ子世代という負の遺産をもたらした。これに加え、中国は諸外国よりも不妊症が大きな問題になっているようだ。北京大学の研究者らが行った調査では、出産期にある夫婦の約18%が不妊症の問題を抱えている。世界平均は15%程度だ。