新政権に迫られる
対中外交の見直し

 朝鮮日報は、「中国を刺激しない屈辱外交から抜け出せ」「米国との協力は必要だが中国を敵対視しては駄目」と題する記事を掲載している。

 その記事によれば、韓中関係の専門家らは「韓国で新政権が発足し、韓中修好30周年を迎える2022年には両国関係の再調整を始めるべきだ」として、「韓国の安全保障政策における今後5年の最大の挑戦は韓中関係の設定になるだろう」「中国に対する『多層的観点』に基づき実利的な韓中関係を構築すべきだ」と主張しているという。

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 こうした対中関係見直しは、中国の対外関係の動きと連動している。駐中大使などを歴任した東西大学東アジア研究院の辛正承(シン・ジョンスン)院長は、「10年ほど前まで静かに時を待っていた中国が攻勢に出てきたため、韓中関係でも過去のやり方で対応するのは難しい」と指摘する。

 これは、まさに日米欧豪など西側の主要国が対中政策を見直してきた要因と重なるものだ。これまで中国の重要性ばかり指摘し、中国の脅威には目をつぶる姿勢を取り続けてきた文政権が交代するのは、対中外交を見直す絶好の機会になるだろう。

 中国における韓国の比重は低下し、韓国企業の多くは中国政府の圧力により対中ビジネスを縮小せざるを得なくなっている。

 そうした中、韓国がこれまでと同様の対中外交を続けるならば、韓国はますます中国に何も言えない国になっていくだろう。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)