レッドブル、国内の軌跡
サブカルシーンで頻繁に目撃

 必要性はさておき、個人的にあの文章は好きである。

 冒頭の一文『ヤバさを詰められるのは――』のつかみは強烈であり、次の一文をぜひ読みたい気にさせられる。そして全編にわたって日常でおよそ触れることのないテンションでつづられていて、振り切っている感が潔い。
 
 同様に感じている人は少なからずいるようで、“モンスターエナジー”の缶に乗っているポエムじみた文章を“モンエナポエム”と呼んで楽しむ流れがひそやかに生まれているようだ。
 
 国内でエナジードリンクのはしりとなったのは、筆者が記憶している限りでは“レッドブル”である。今ほどエナジードリンクが一般的でなかった頃、レッドブルは駅前でサンプルを配ったり、上に巨大なレッドブル缶の模型を乗せた車を走り回らせたりしていた。
 
 それと並行してサブカルシーンへの進出に力を入れていた印象があった。クラブやバー、知り合いの知り合いのデザイナーが開催している展示会など、どれも筆者がめったに足を運ぶ場所ではないが、行くとレッドブル専用の小型冷蔵庫が置いてあった。スポンサードなのか主催会場が好きでレッドブルを仕入れているのか分からなかったが、とにかく一時期は、「そういう場所に行けば飲める飲み物」というイメージだった。

レッドブルとモンスターエナジー
それぞれのブランド戦略

 一方、レッドブルの缶にはポエム的なものは記載されておらず、「ココロ、カラダ、みなぎる」と書いてあるくらいでシンプルだ。
 
 レッドブルの代表的なキャッチコピーに「RED BULL 翼をさずける。」があるが、一方で「くたばれ、正論。」と大書され、それに付随するメッセージが書かれた広告もあり、ちょうど1年ほど前に物議をかもした。