各業界と社会によりよい変化を起こしていくために

 ACE会員の名簿には、日本を代表するような大企業が並んでいる。そうした企業で障がい者が働くスタイルは、世の中に大きな気づきを与え、“さまざまな人がそれぞれの働き方をする”ダイバーシティ社会の指針になっていくだろう。これからの活動がますます注目されるACEの今後の予定は? また、会員企業の人事担当者はどのような姿勢でACEの活動に向き合っているのだろう?

栗原 今年2022年9月に、ACEは創設10周年を迎えます。まずは、この10年で何を行い、どんな影響を社会に与えることができたのか、一度振り返ってみたいと思います。その上で、次の10年、何をしていくのか――今期のメンバーとの検討に入ります。なにか記念事業も行えればと考えていますので、決定したらまたご案内させていただきたく、ぜひご期待いただければと思います。

 ACEという団体は、加盟企業の、主に人事部門から2名ずつ活動に参画していただいています。これは、各会社から出向しているのではなく、本業と並行してACEの活動を行っています。ACEのセミナーやフォーラムは、企画・運営を担当者が自ら行っており、業務を抱えた忙しいなかで尽力していただいており、本当に頭が下がります。

 たいへんなことではありますが、(会員企業であることの)メリットはたくさんあります。実際に障がい者採用やその定着支援を担当しているので、現場の課題を認識しています。その課題解決のための施策を企業の枠を超えて共同で行うことができ、活動の成果をすぐに現場にフィードバックすることもできます。また、課題を抱え、孤独に日々悩んでいる人事担当者もいて、「共通の悩みを持つ社外のメンバーと意見交換・情報共有をすることで突破口が見えた。元気が出て、より前向きに取り組めるようになった」との声をたくさんいただいています。

 障がい者雇用の推進は、一企業単独ではできないことがたくさんあります。ACEは、企業の枠を超えたメンバーが集い、日本各地の大学関係者や文部科学省・厚生労働省、障がい者雇用関連企業とも連携しています。各業界と社会によりよい変化を起こせるようにこれからも活動していきたいと考えています。

障がいのある人と障がいのない人を繋ぐ“懸け橋”としての人事部門一般社団法人 企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE) のホームページ
ACEは、「企業の成長に資する新たな障がい者雇用モデルの確立」というミッションで、2013年9月に設立された。さまざまな業種業態の企業が中心となり、人事担当者や障がいのある社員向けのセミナーや研修を行っている。2021年9月1日現在で会員企業は全34社。