障がいのある人と障がいのない人を繋ぐ懸け橋
現在、民間企業における障がい者の法定雇用率は2.3%(従業員43.5人以上の民間企業が対象)。昨年2021年12月に厚生労働省が発表した「障害者雇用状況(2021年6月1日時点)」によれば、民間企業で働く障がい者は前年比3.4%増の59万7786人で、過去最高を記録した。一方で、コロナ禍で求人が減っている状況もあり、障がいのある人たちが心理的安全性の高い職場で仕事を続けていくために、企業経営者や人事担当者に課せられた役割は大きい。
栗原 企業の人事部門は、障がいのある人と障がいのない人を繋ぐ懸け橋であってほしいと思います。まず、(人事部門は)障がいのある学生を最初に企業へと結びつける役割を持っています。ACEのインターンシップ・プログラムやキャリアセミナーに参加する学生さんを見ていると、「もう少し早くに企業へのアプローチを開始できれば、自分のやりたいことと結びついた就活ができるのでは?」と思うことがあります。就職という時期が見えてから、自身の将来の夢を考えるのではなく、もっと早くから企業と大学の就職センターや学生との接点を築くことができれば、障がいのある学生それぞれが持つ強みや関心事、身につけたい能力に合わせた就活ができるのではないしょうか。ACEも全国の大学の就職支援室や障がいのある学生をサポートする職員・教員との懇談会の実施を始めました。企業が求める人材と障がいのある学生のなりたい姿のマッチングが早期からできるようになるといいですね。
また、人事部門は、入社後も障がいのある社員が能力を発揮できるよう、上司や同僚とコミュニケーションの懸け橋になることができます。人事や同僚のサポートを得て、自ら率先してダイバーシティを推進するコミュニティづくりを行う社員もACE会員企業内で出てきています。コミュニティが一度できると、人事の枠を超え、一人ひとりの社員が率先してダイバーシティに関する活動を始めていきます。そこから生まれる相互理解がチームや部門の結束を強くして、企業の成長に貢献できると思っています。
多くの部門、経営層を含む社員と繋がりを持っている人事部門だからこそ、人と人とを繋いでいくチーム作りが期待されていると感じています。