年金 老後不安の真実#2Photo by Kazutoshi Sumitomo

少子高齢化が加速する中、年金問題を根本的に解決することは、一朝一夕には成し得ない。当面は、制度変更によって課題に対処するしかない。特集『年金 老後不安の真実』(全7回)の#2では、元ゴールドマン・サックス金利トレーダーで『お金のむこうに人がいる』の著者、田内学氏と厚生労働省年金局数理課長の佐藤裕亮氏に、現在俎上にある制度変更案について議論してもらった。(構成/ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

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現状制度だと40年代には
年金給付が今より2割減少

――少子高齢化はますます加速していきます。

田内 2020年時点で現役世代の1.9人が1人の高齢者を支えていますが、50年には1.2人で1人を支えることになります。高齢者1人当たりを支える人数が3割強減ります。

 制度を変えることによって全体の生産量が増えるわけではありませんが、現在の制度のままで少子高齢化に対応できるのですか。

佐藤 現在の年金制度は、04年の改正で導入された財政フレームに基づいています。簡単にいえば、収入を固定して支出を調整していくというものです。13.58%だった厚生年金の保険料率を、17年に18.3%まで引き上げました。これ以上は引き上げません。全国民共通の基礎年金の半分は国庫負担で賄われています。

 給付水準を低下させずに固定すると、財政的に厳しいので、給付を徐々に調整する「マクロ経済スライド」という仕組みを入れました。年金は、受け取り始めの額は現役世代の賃金の上昇に応じて改定され、受け取ってからの額は、物価動向に応じて改定されます。その改定による増加を抑制する仕組みです。