年金 老後不安の真実#7Photo:takasuu/gettyimages

現在、検討されている年金制度改革が実現すれば、あなたが受け取れる年金額が増えることになりそうだ。年金の給付額は幾ら増えるのか。特集『年金 老後不安の真実』(全7回)の最終回では、「ねんきん定期便」や日本年金機構の見込み額試算では見えてこない本当の年金受給額を、国民年金に夫婦で加入している世帯について初試算した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

国民年金加入者に占める
非正規雇用の比率が急増

 国民年金加入者に占める非正規雇用者の割合が急増している。

 国民年金被保険者実態調査によると1996年に臨時・パート労働者の比率は13.8%だったが、2019年には31.4%にまで増加した。一方、自営業主・家族従業者の比率は同期間に39.3%から23.7%に低下した。

 元来、自営業者のために創設された国民年金。22年4月の年金制度改正の柱の一つであるパート労働者への厚生年金適用拡大がさらに進めば、非正規雇用者の比率は低下していくかもしれないが、今は非正規雇用者の比率の方が大きくなっている。

 自営業者は老後も働き続け、そこから得る収入と国民年金(基礎年金)で生計を立てることができる。だが、非正規雇用者の場合は働き続けられる保証はない。

 だから、国民年金の給付水準低下が問題になるのだ。ただ、国民年金の水準確保のために現在検討されている年金制度改革が実現すれば、将来受け取る国民年金の額が増加する。

 その実態はねんきん定期便や日本年金機構の見込み額試算による受給額では見えてこない。なぜなら、そこに書かれているのは実際の受取額ではなく、現時点での算出基準によるものだからだ。

 受給開始日までの名目賃金上昇率や物価上昇率の変動、マクロ経済スライドによる給付抑制が反映されているわけではない。

 そこで、19年の財政検証で最も現実的なケースである「ケースV」を前提に、上記の変動要素を織り込んだ本当にもらえる年金額を試算した。

 では、幾ら増えるのか。次ページ以降で、年金改革によって国民年金の受給額がどう変わるのか、初試算した真の金額を明らかにする。