現在、検討されている年金制度改革が実現すれば、あなたが受け取れる年金額が増えることになりそうだ。年金の給付額は幾ら増えるのか。特集『年金 老後不安の真実』(全7回)の#5では、「ねんきん定期便」や日本年金機構の見込み額試算では見えてこない本当の年金受給額を、片働き世帯について初試算した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
妻が専業主婦世帯の3分の1強が
夫の年収500万円以下
夫が働き、妻が専業主婦の世帯は夫の年収が高いとよくいわれるが、必ずしも、実態はそうではない。
労働政策研究・研修機構の第5回子育て世帯全国調査によれば、妻の年収が103万円以下の世帯のうち夫の年収が500万円以下の世帯が占める比率は35.2%、300万円以下の比率も約10%だ。
夫の収入が多くない片働き世帯は、夫が受け取る厚生年金の額も低い。こうした世帯にとって現在、検討されている年金改革のメリットは大きい。夫婦二人で受け取る基礎年金額の水準が高くなるからである。では、幾ら増えるのか。
ねんきん定期便や、日本年金機構の見込み額試算で分かる受給額は、実際の受取額ではなく、現時点での算出基準によるもの。受給開始日までの名目賃金上昇率や物価上昇率の変動、マクロ経済スライドによる給付抑制が反映されているわけではない。
そこで、2019年の財政検証で最も現実的なケースである「ケースV」を前提に、片働き世帯の上記の変動要素を織り込んだ本当にもらえる真の年金額を試算した。
真の年金額は幾らか。制度改革案が実現したときの増加額は幾らなのか。次ページで解説する。