ESG、AI、宇宙など、テーマ性がある
アクティブファンドに入れ替えていた

 コロナショックの影響を受けていったん下がった株価が、ちょうど上がってきた頃のことでした。Cさんは投資信託を中心にいろいろな情報を集め、評判を聞き、自分なりに「この商品の投資先は将来性がある」など期待できると思った商品に入れ替えていたのです。

 新しく購入したのは、ESG、人工知能(AI)、宇宙などテーマ性のある商品が多く、投資信託の中でも「アクティブファンド」と呼ばれるもの。株価の指標を上回ることを目指しているので、値動きが比較的大きく、大きく儲けられる可能性もありますが、大きな損をする可能性もある商品です。投資を始めて日の浅い人が、簡単に扱えるような商品ではありません。

 本来なら、軸となる資産がしっかりできた上で、このような投資をしていただきたいのですが、Cさんは全く逆。資産の軸となる金額をこれらの商品にしていたのです。

 株価の良い時期も終わった今、かなりの含み損が出ています。手放そうにも、損を少なくして売却できるようなタイミングも見つけられません。インデックスファンドについてのアドバイスで「一時期下がっても、すぐ売却したりせず、じっと我慢。時間をおけば戻る可能性が高い」と言われたことをアクティブファンドでも信じ、じっと我慢で保有し続けています。

いろいろな投資を楽しむなら、サテライトな部分で

 どのような投資にも一長一短ありますから、「絶対にこういう投資でなければいけない」と押し付けることはできません。ですが、初心者で、かつ将来に向けての資産形成を目指すのであれば、資産の軸となる部分、つまりコアな部分はインデックスファンドで形成する方向が良いでしょう。そして投資の素人であるほど、いろいろな投資を楽しみたいのであれば、サテライトな部分でしてほしい。投資のプロでもなく、会社員など別に本業があるのであれば、そういう運用の方がよいと伝えているはずですが、投資の経験が増し、自分なりに調べてうんちくを話し始めるようになると、自分の考えは間違っていない、こうするとお金が増えると過信し、失敗に近づいていることに気が付かず独走してしまうように感じます。

 人よりもお金を増やしたい、その気持ちは分かりますが、基本は大切です。今の脱線した投資を長く続けていくことが、どれだけ危険なことか。早く気が付き、軌道修正していただきたいと思っています。