一つの解決案は、運用会社自身が全世界株式(「含む日本株」と「除く日本株」)のインデックスを自家製で作って、このデータを公開しつつ、自社製のインデックスをターゲットにするインデックスファンドを商品化することだろう。

 銘柄数を増やして銘柄を選択し、指数を計算するのは、それなりに手間が掛かる。しかし、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)のように頻繁に準リアルタイムで計算する必要はないので、指数値は終値が一つあれば投資家が判断するデータとしては十分だ。ならば、架空のファンドの基準価額を一つ計算するだけなので、中規模以上の投信運用会社なら十分できるはずだ。

 リアルなファンドの基準価額があれば、「過去のリターンの振る舞い」はおおよそ判断できる。ただ、運用のオペレーションをうまく行っていたのか否かを説明する上で、手数料等の影響がない「指数」の値はある方がいい。

 銘柄選択は、「アクティブに行う」と割り切ってもいいかもしれないが、インデックスファンドの強みの源泉は「ライバルの平均をじっと持つ」ことだ。なので、時価総額のウェイトを基本として、銘柄の売買が少なくなるような指数を設計するといい。

 なお、この自家製インデックスによるインデックスファンドは、銘柄の入れ替えの内容やタイミングを事前に発表する必要はない。将来、規模が大きくなったときに市場参加者にファンドの売買を読まれて利用されないためには、銘柄入れ替えなどは、ファンドの売買が済んでから発表すればいい。

 また、投資家が投信を1本だけ持つなら日本株込みの世界株のインデックスファンドがいいと思うというのは前述の通りだ。ただ、自家製指数に商品価値が生じた場合、マザーファンドを年金運用などに流用できるようにするには、「全世界株式(除く日本株)」のファンドがあると便利かもしれない。

世界的インデックスの「S&P500」が
恐れるシナリオとは?

 最後に自家製インデックスファンドのヒントとして、かつて米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(現S&Pグローバル)に勤めていた人から聞いた話を一つ紹介しておこう。