長らく続く新型コロナウイルス。引きこもりがちな生活で、気持ちが落ち込み気味の人も多いのではないだろうか。2021年4月に発売された『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ著 藤田麗子訳)は、「無理せず、自分のペースで自由に生きたい」という人におすすめの1冊だ。著者のクルベウ氏は事業に失敗し、自分を励ますためにSNSに投稿していた癒しの言葉が多くの共感を集め、2015年に作家デビュー。本作はクルベウ氏の日本語初翻訳作品だ。読者からは「1ページ目から涙が出た」「すべての文章が刺さった」「大切な人にプレゼントしたい」との感想が多数寄せられている。心理カウンセラーの大嶋信頼さんはこの本は『あなたはありのままの自分でいい』と優しく語りかけてくれるようだ」と言う。今回は、大嶋信頼さんに本書のテーマの1つである「人間関係の悩み」について話を聞いた。

「人から言われたこと」を気にして眠れない…。グルグル思考を止める「魔法のフレーズ」とは?Photo: Adobe Stock

「どういう意味なんだろう?」

大嶋信頼(おおしま・のぶより)
心理カウンセラー、作家、株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役
米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研究生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、株式会社アイエフエフ代表取締役として勤務。「どんな人でも心の傷があり、その人が認識していない心の傷でも治療することで、もっと自由に生きることができるのではないか?」と心的外傷治療に新たな可能性を感じ、インサイト・カウンセリングを立ち上げる。カウンセリング歴28年、臨床経験のべ9万件以上。著書にシリーズ累計30万部を超えるベストセラーとなった『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)、『催眠ガール』(清流出版)、『ミラーニューロンの彼方へ!支配からの解放』(青山ライフ出版)、『「空気読みすぎ」さんの心のモヤモヤが晴れる本』(永岡書店)、『孤独とお金の不安から解放してくれる25の呪文』(主婦の友社)など多数。

みなさんは、人に言われたことを思い出して夜眠れなくなる、という経験はありませんか。

私が職場の人に提案をしたところ、「あ、それは必要があったらやりますね」と職場の人にサラッとかわされたことがありました。

「必要があったらってどういうこと? それって私がアドバイスした内容は無駄なことって言っているの?」と自分がバカにされているような気持ちになります。

夜に眠ろうとしたときに、急にその光景が思い出されて、相手に対する怒りがどんどん湧いてきます。「私の仕事のやり方がおかしいとバカにしているのか!」と頭の中で相手と戦ってしまって、怒りで眠れなくなってしまうんです。

それだけにとどまらず、これまであった相手とのやりとりで不快だったことが次から次へと思い出されて、「なんで私はあんなに失礼な態度を取られなきゃならないんだ!」と頭が興奮してしまい、気がつくと明け方になっています。「あの人のことを考えていたせいで、全然眠れなかった!」とますます嫌な気分になってしまうんです。

自己肯定感が低いせいで、相手の気持ちを考えすぎてしまう

布団に入ったときに相手のことを考えてしまうのは、ただ嫌な出来事を思い出しているだけ、のように見えますが、心理学的な観点でいうと、その背景に「自分の言ったことやったことを振り返って、相手とどうやったら仲良くなれるんだろう?」という思いが隠れていることもあります。

「私のことをバカにしている!」とむかつきながらも、「私のどこかにバカにされるようなところがあるのかも?」と思い悩む。

自分がどうしたら相手から理解されて、どう行動したら相手と対等な立場になれるのだろう?と無意識のうちに考えているのです。

実は、自己肯定感が高くて「相手から認めてもらうなんて関係ない!」と思える人なら、相手の言動は気にならないんです。

私の場合は自分に自信がなく、自己肯定感が低いので、心のどこかで「自分よりも相手の方が上!」といつも思っていて、どんな相手でも「私よりも優れている」と思ってしまいます。

小学生からバカにされても、「あの小学生は私のことをどう思ったんだろう」と小学生の気持ちを考えてしまうこともあります。小学生より自分は下だ、と思っているということですね。

なぜこんなふうに誰よりも自分のことを劣っていると考えてしまうかと言うと、「自分の中は空っぽで何もない」と思っているからなんです。

他の人の中身はちゃんと詰まっているけど、自分の中身は空っぽで、「みんなと同じように中身があるように装っているだけ」。だから、「中身がないことを見破られたらどうしょう?」とおびえているんです。

いやいや、そんなことを言いながら、散々頭の中で相手にダメ出しをしているじゃない!と読者の方には思われるかもしれませんが、突きつめていくと「自分の空っぽさを見破られて見捨てられるのが怖い」と思っているということなんです。