インフルワクチン接種は「一定の取組」の対象に
新型コロナワクチンは対象外なので注意

 国が定めた「一定の取組」とは以下のものとなる。

・健康保険や国民健康保険などが行う健康診査(人間ドッグ、各種健診など)
・市町村が健康増進事業として行う健康診査(骨粗しょう症健診など)
・予防接種(定期接種、またはインフルエンザの予防接種)
・職場で受けた定期健康診断
・特定健康診査(メタボ健診)、または特定保健指導
・市町村が実施するがん検診

 このすべてを行う必要はなく、この中から、いずれか一つでも受けていれば、申告できる。

 また、セルフメディケーション税制は、医療費控除と同様に、同一生計の家族が購入した市販薬はまとめて申告できるが、健康づくりの取組は申告者のものだけ証明できれば大丈夫だ。家族全員が健康づくりの取組をしていなくても申告できる。

 ここで、一つ気になるのが、予防接種の項目だ。特に、21年に多くの人が接種した新型コロナウイルスワクチンについては、どうなるのだろうか。

 セルフメディケーション税制の申告対象となっている予防接種は、次の2種類だ。

・予防接種法で定められた定期接種
・インフルエンザに関する特定感染症予防指針で推進されている予防接種

 具体的には、季節性インフルエンザの予防接種、高齢者が受ける肺炎球菌感染症のワクチンなどだ。

 新型コロナウイルス感染症の予防接種は、臨時接種の枠組みで行われているものだ。セルフメディケーション税制での「一定の取組」としてはカウントされないので、申告を予定している人は注意しよう。

 もう一点注意すべきなのが、セルフメディケーション税制と医療費控除の併用はできず、どちらか一方しか申告できないことだ。

 医療費控除でも、薬局で購入した市販薬は医療費として計上できる。昨年1年間に、家族が入院したり、手術をしたりして、医療費が10万円を超えたという人は、通常の医療費控除を受けたほうが還付金は多くなる可能性が高い。いったん申告してしまうと、やり直すことはできない。申告する前には、控除額を大まかに計算したうえで、医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらか、より多くの還付金を取り戻せるほうを利用したい。