私はよく学生や親に対して、「就活は結婚ではなく、恋愛と考えよう」とお話しています。初恋の人に振られたとしても(そのときはとても傷心し、つらいかもしれませんが)、べつにその人だけがあなたにとっての恋愛対象ではないと、時間がたてば思えるようになるでしょう。「またいい人がいれば、その人と付き合おう」と思うようになるものです。

好きな相手にフラれて絶望
就活でそうなってはいけない

 企業選びも同じです。世の中にはあなたが名前を知っている企業以外にも、興味深い企業、働きがいのある企業、知られていないだけで実は超優良企業、というケースが山ほどあります。1社だけを思い定めて「そこに入れなかったら終わりだ」と思うのは、まるで憧れのアイドル歌手と結婚すると決めて、その人が誰かと結婚発表すると絶望するようなものです。

 また、ある程度の会社を見て回ったうえで、いろいろ応募して受かった1社が、もし仮に自分に合わなかったとしても、それで人生が決まるわけではないので安心してください。「一度決めたら一生離れられない」と思うから、就活に対して重く考えてしまうのです。

 仮に合わない会社に入ったとしても、長い人生でお付き合いするうちの1人だと思えばいいのです。「初恋の人と一生添い遂げることだけが素晴らしいのではない。それだけを目指してはいけない」ということです。

 そこで、「できるだけたくさんの会社を見ましょう」「動けるうちに動きましょう」ということを提案したいと思います。「できるだけたくさん企業の説明会に参加しなさい」という話は、それこそ就活のガイダンスや周囲や親などに言われて、耳にたこができているかもしれません。でもほとんどの場合、「多くの企業を見なさい」とアドバイスするだけで、なぜそれがあなたにとって必要なのかということまでは、誰も教えてくれないのではないでしょうか。多くの企業を見る理由、それは第一にあなたにとって、いい企業に出合うため、出合いのチャンスを増やすためなのです。